英語の解き方や勉強法、参考書や問題集の紹介(第8回)「動名詞とto不定詞の『意味上の主語』『否定形』『過去形』」

みなさんはじめまして。

七隈国英塾の杉久保英司と申します。当ホームページをご覧いただきありがとうございます。

今回は(第8回)「動名詞とto不定詞の『意味上の主語』『否定形』『過去形』」を解説していきます。文法的には細かい点なのですが、よくわかっていない(知っていても忘れている)生徒さんが多い単元です。しかし、小回りが利くだけに選択問題整序問題出題される頻度が高い単元です。そこで、皆さんの「つまらないミスの防止」「貴重な試験時間の短縮」のために、できるだけ簡単に解説していきます。

今回は前回の(第7回)「to不定詞の3用法と意味上の主語」の補足となっています。今回だけ読んでも分かるように解説しますが、前回の内容を理解しているとより分かりやすくなると思います。できれば前回のブログも読んでいただけると幸いです

それでは、七隈国英塾の作法にのっとり今回の要点を3行でまとめます。

①動名詞とto不定詞の「意味上の主語」
動名詞とto不定詞の「否定形」「過去形」
③「to不定詞の過去形」と「時制」(「be said」=「seem」)

「S is said to do(時制の一致)」
「S is said to have Vpp(現在と過去)」
「S was said to do(時制の一致)」
「S was said to have Vpp(過去と大過去)」

★現代文、古文、英語の勉強法をまとめた記事はこちら★
国語、英語の読み方、解き方、勉強法や参考書、問題集の紹介

前回:英語(第7回)「to不定詞の3用法と意味上の主語」
次回:英語(第8回)「第4文型SVOO『授与動詞』と『第三文型SVOの書き換え(to, for)

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1.「動名詞」と「to不定詞」の「意味上の主語」

「動名詞」だけ目的語にとる動詞(メガフェップス)と「to不定詞」だけ目的語にとる動詞(前回の復習)

前回の復習です。ものすごく重要なので必ず覚えましょう

目的語に「to不定詞」「動名詞」か?
①to不定詞 動詞よりもちょっと後(未来)のとき
②動名詞 動詞よりもちょっと前(過去)のとき


I want to play tennis. 
動詞「want」より、to不定詞「to play tennis」のほうが後(ちょっと未来)
「したい」と思っているとき、まだ「テニスをしていない」


② I enjoy playing tennis.
動詞「enjoy」より、動名詞「playing tennis」のほうが前(ちょっと過去)
「楽しい」と感じているとき、すでに「テニスをしている」

過去(動名詞)現在(動詞V)未来(to不定詞)
wantto play tennis
promiseto play tennis
decideto play tennis
playing tennisenjoy
playing tennisfinish
playing tennisstop

目的語に「to不定詞」しか取れない動詞
①希望
want, hope, wish, desire「~を強く望む」

②意図
expect「~を予期する」, promise「~を約束する」

③決心・申し出
decide「~を決心する」, offer「~を申し出る」

その他注意すべきもの,
pretend to do「~のふりをする」メガフェップスの「p」ではないことに注意

manage to do「なんとかして~する」文法問題で頻出

tend to do「~しようとする」。類義語「intend」「~しようとする」は両方取って意味が変わらない語「intend to do」「intend ~ing」両方可。

happen to do「たまたま~する」「happen」が原型であることに注意

appear to do=seem to do「~のように見える」長文で頻出。自動詞「appear」=「現れる」とは異なる。他動詞としての用法。

get to do = come to do「~するようになる」。自動詞「get to 場所」「come to  場所」「~に到着する、~に来る」と区別しよう。ちなみに「become to do」は存在しない(ひっかけ注意)。

目的語に「動名詞」しか取れない動詞、(メガフェップス)
mind  「~を気にする」
enjoy 「~を楽しむ」
give up 「~を(完全に)あきらめる」
avoid 「~を避ける」I avoid eating sweets.
finish 「~を終わらせる」
escape 「~を避ける」I escape meeting you.
practice 「~の練習をする」I practice playing tennis.
put off  「~を延期する」未来だけど動名詞。例外
stop 「~を中断する(その後、再開する)」

目的語に「to不定詞」と「動名詞」の両方を取って「意味が変わる語」(5種)

remember to do「これから~するのを忘れずに覚えている」
remember ~ing「~したことを忘れずに覚えている」

forget to do「これから~するのを忘れる」
forget ~ing
「~したことを忘れる」

mean to do「~を意図する(これから~しようとする)」
mean ~ing「~を意味する」

try to do「頑張って~しようとする」
try ~ing「(できるかどうかわからないけど)とりあえず~試してみる」

regret to do「(嫌々だけど)これから~する」
regret ~ing「~したことを後悔する」

問題「a、bのどちらかを入れて訳しましょう」(前回より難しくなっています)

① I practice ( ) tennis.
a「to play」 b「playing」

② She regrets ( ) sweats yesterday.
a「to eat」 b「eating」

③ I pretend ( ) calmly.
a「to sleep」 b「sleeping」

④ I put off ( ) tennis with you .
a「to play」 b「playing」

⑤ He appears ( ) tiered these day.
a「to be」 b「being」

正解
① I practice playing tennis.(b)
「私はテニスをする練習をする」

② She regrets eating sweats yesterday. (b)
「彼女はきのう甘いものを食べたことを後悔している」

③ I pretend to sleep calmly. (a)
「私は静かに寝たふりをする」

④ I put off playing tennis with you. (b)
「私はあなたとテニスをするのを延期する」

⑤ He appears to be tiered these day. (a)
「彼は疲れているように見える」

解説
「practice」は目的語に「動名詞」を取る語。「Megafepps」の「p」である。
「regret」は目的語に「to不定詞」と「動名詞」の両方を取って意味が変わる語。「yesterday」がヒント。「動名詞」は過去ということが大事。
「pretend」は目的語に「to不定詞」しか取れない語。
「put off」は目的語に「動名詞」を取る語。「Megafepps」の「p」である。

「appear to do」は目的語に「to不定詞」を取る語で、「seem to do」(~のように見える)と同じ意味。自動詞「appear」(出現する)とは用法が違うことにも注意。

動名詞=過去
to不定詞=未来

今回取り上げた「to不定詞しか目的語にとれない動詞」「動名詞しか目的語にとれない動詞」「両方取って意味が変わる動詞」は受験に頻出です。必ず覚えてください

補足
自動詞」と「他動詞


自動詞「後ろに目的語Oを取らない動詞」(第1~第2文型)
他動詞「後ろに目的語Oを取る動詞」(第3~第5文型)

第1文型「I go to school.」(S
第2文型「She is beautiful.」(SC)(S=C)
第3文型「I play tennis.」(S
第4文型「I give you present.」(SO)
第5文型「I want you to play tennis」(SC)(O=C)、(OC→SV)

★「自動詞」と「他動詞」の復習をしたい方はこちら記事★
第2回「SVとSVO、自動詞と他動詞」

to不定詞の意味上の主語は「目的格」、動名詞の意味上の主語は「所有格(目的格)」

問題1「a、bのどちらかを入れて訳しましょう」

① I like ( ) tennis.
a「to play」 b「playing」

正解
① I like to play tennis.(a)
① I like playing tennis. (b)
「私はテニスをするのが好きだ」(どちらでも正解)

解説
「like」は目的語に「to不定詞」と「動名詞」の両方を取って「意味が変わらない語。よって、どちらでも正解。このような語は出題されないので、特に覚えなくてよい

補足
ちなみに、代表的な動詞は「始まる系」の動詞。「begin」「start」などは両方取って意味が変わらない。それに対し「終わる系」の動詞は「動名詞」しか目的語にとらない。「finish~ing」「stop~ing」「give up~ing」「quit~ing」
「終わらせる」前には、すでに「なにかをしてる」必要があるから。

「to不定詞」=未来
「動名詞」=過去

問題2「次の和文を英作文にしましょう」(ヒントがあるから大丈夫)

「私はあなたがテニスをするのが好きです」

ヒント
①「好き」なのは「私」、「テニスをする」のは「あなた
②「私」はこの文章の主語S,「あなた」を意味上の主語という。
③「like」は目的語に「to不定詞」と「動名詞」両方を取る(意味は変わらない)

④「to不定詞」の意味上の主語は、「to」の前に「目的格」(You, your, you, yours)を置く。
動名詞意味上の主語は、「~ing」の前に「所有格(目的格)」(You, your, you, yours)を置く。

正解
「私はあなたがテニスをするのが好きです」
① I like you to play tennis.
(to不定詞意味上の主語は「目的格」)

② I like your playing tennis.
② I like you playing tennis.
(動名詞の意味上の主語は「所有格」か「目的格」)

解説
「好き」なのは「私」、「テニスをする」のは「あなた」。この文章は1つの文の中に「主語」と「動詞」が2組ある。「この文の主語」意味上の主語を考える必要がある。

to不定詞意味上の主語(要するに「to play」の主語)は、「to」の前に目的格を置く。
②「動名詞」の意味上の主語(要するに「playing」の主語)は、「~ing」の前に所有格(目的格)を置く。(動名詞の意味上の主語に「目的格」を置くのは、長文でよく見られる形

①「I like you to play tennis.」は典型的な第5文型SVOC第5文型の特徴は(O=C)か(OC→SV)で、今回は「OとCの関係がSとVの関係になっている」
「S」が「O」を「C」するのを「V」する、という形。
②「I like your playing tennis.」は第3文型SVO
「私は」S,「あなたがテニスをすることを」O、「好む」V、という形。

動名詞の意味上の主語の重要な構文

問題1「次の英文を和訳しましょう」(ヒントがあるから大丈夫です)

Do you mind opening the window?

ヒント
①「mind」は動名詞を目的語にとる代表的な動詞。「Megafepps」の「M」。
②「mind」は「~を気にする」という意味。
③「気にする」のは「あなた」。「窓を開ける」のは「誰」?
④今回は「動名詞の意味上の主語」が存在しない
⑤よって、「窓を開ける」のはこの文の主語である

正解
Do you mind opening the window?
「(あなたが)窓を開けてくれませんか?(意訳)」
あなたが窓を開けることをあなたは気にしますか?(直訳)」

解説
mind」(~を気にする)は動名詞を目的語にとる代表的な動詞。
今回は動名詞opening」の意味上の主語が存在しない。このときはこの文章の主語が動名詞の主語になる。

「文章の主語」と「動名詞の主語」が異なる時だけ、動名詞の意味上の主語を置く。

例文
I like to play tennis.
I like playing tennis.
これらの文では「好き」なのは「」。「テニスをする」のも「」。
よって意味上の主語は置く必要が無い

問題2「次の和文を英作文にしましょう」(ヒントがあるから大丈夫です)

「窓を開けてもいいですか?」(日本語は主語を省略しがちですね)

ヒント
①「mind」は「Megafepps」の「M
②「mind」「~を気にする」を使おう。
③「気にする」のは「あなた」、「窓を開ける」のは「誰?」
④「文の主語」と「動名詞の主語」が異なる時、意味上の主語を置く
⑤「動名詞」の意味上の主語(要するに「opening」の主語)は、「~ing」の前所有格(目的格)を置く。

正解
「窓を開けてもいいですか?」
Do you mind my opening the window?
Do you mind me opening the window?

解説
今回も「mind」「~を気にする」を使う。「気にする」のは「あなた」、「窓を開ける」のは「」。日本語は主語を省略するので「私」を補うのがポイント。

「文の主語」と「動名詞の主語」が異なる場合、動名詞の意味上の主語を置かなけらばならない。

動名詞」の意味上の主語(要するに「opening」の主語)は、「~ing」の前所有格(目的格)を置く。

補足
Do you mind me opening the window?
はSVOCの第5文型に見えますが、SVOの第3文型です。
opening」が「現在分詞」に見えますが、動名詞です。
mind」などの動名詞を目的語にとる語は第5文型を取りません(例外があるかもしれませんが)

この章をまとめ
・「to不定詞しか目的語にとれない動詞」「動名詞しか目的語にとれない動詞」「両方取って意味が変わる動詞がある。必ず覚えよう(今すぐに)

「to不定詞」=未来
「動名詞」=過去


・「to不定詞」の意味上の主語は、「to」の前に「目的格」(You, your, you, yours)を置く。

動名詞意味上の主語は、「~ing」の前に「所有格(目的格)」(You, your, you, yours)を置く。

「動名詞の意味上の主語」の重要な2つの構文
Do you mind opening the window?
=「窓を開けてくれませんか?」
Do you mind my opening the window?
=「窓をあけてもいいですか?」

2.動名詞とto不定詞の「否定形」「過去形」

形式主語「It」(SVC)、形式目的語「it」(SVOC)」(前回の復習)

形式主語の「It」形式目的語「it」to不定詞の名詞的用法名詞節を導く接続詞のthatで受けます。

今回の単元では形式主語「It」を使って「to不定詞の名詞的用法」「名詞節を導く接続詞のthat」の書き換えをメインにやっていきます。なので前回の復習をやって聞きます。

形式主語「It」形式目的語「it」を受ける「to不定詞」「接続詞that節」

形式主語「It」(SVC)(S=C)
(✖)To play tennis with my friends is fun.
(〇)It is fun to play tennis with my friends.
(〇)It is fun that I play tennis with my friends.
友達とテニスをすることは楽しい」
「It」to play tennis with my friends」
「It」=「that I play tennis with my friends.」

形式目的語「it」(SVOC)(O=C)
I find it fun to play tennis with my friends.
「私は友達とテニスをすることが楽しいと分かった」
「it」「to play tennis with my friends」

注)形式目的語「it」を「that節」で受ける例文は少ないです。「that節」が長いことが多いからです。形式目的語「it」を置くと逆に分かりにくいので、形式目的語「it」の代わりにSVCOの「倒置」(CとOの倒置)をよく使います。長文でよく見られます。(今回は省略します
I find fun that I play tennis with my friend ~.

「find」は「~を見つける」と「~であることが分かる」という意味がある。
第5文型SVOCの特徴は「O=C」か「OとCの関係がSとVの関係になる」。今回は「O=C」を使う。「to play tennis with my friends=「it」(形式目的語),「it」=「fun」(O=C)の関係になる。

問題1「次の英和を和訳しましょう」(ヒントがあるから大丈夫です)

「It is said that her sister is beautiful.」
=(Her sister is said to be beautiful.)

ヒント
形式主語「It」接続詞「that節」で受ています。
②「It」=「that her sister is beautiful
③形式主語の構文は、SVCの第2文型の文(S=C)
④「say」は「言う」。「be said」で「言われる」

正解
It is said that her sister is beautiful.
=(Her sister is said to be beautiful.)
「彼女のお姉さん(妹)は美しいと言われている」

解説
形式主語「It」接続詞「that節」で受ています。「It」=「that her sister is beautiful」の関係です。
That her sister is beautiful is said.」(SVC)が元の形。

補足「形式主語の構文の書き換え」(今回の重要なテーマ)

「It is said that her sister is beautiful.」
Her sister is said to be beautiful.

that節の主語文の主語に持っていきます。
②「名詞節を導く接続詞のthat」を「to不定詞の名詞的用法」に置き換えます。
③最後に「時制」を整えます。
そんなに難しくありません。

今回は「言われている」(be said「現在」で、「美しい」(be beautiful)も「現在」。よって、時制をいじる必要はない。この章では、「時制が異なる時」の方法を後半に取り上げます。

動名詞」と「to不定詞」の「否定形」

動名詞」と「to不定詞」の「否定形」

動名詞の否定形=動名詞の前、意味上の主語の後に「not」を置く。
to不定詞の否定形=to不定詞の前、意味上の主語の後に「not」を置く。


①I am afraid of her not coming.
「私は彼女が来ないことを恐れている」
②I want her not to be late.
「私は彼女に遅れてほしくない」

前置詞名詞の前に置くから「前置詞」。①の文章は前置詞「of」の後に動名詞coming」を置いている。それに「動名詞の意味上の主語」(her否定形not」を置いた形。

問題1「次の英文を和訳しましょう」(ヒントがあるから大丈夫です)

「私はテニスをしないことに退屈している」

ヒント
「be tired of」=「~に退屈する、~に疲れる」を使う。
②「退屈する」のは「私」、「テニスをしていない」のも「私」
③よって意味上の主語」は必要ない
「前置詞」の後には名詞を置く。(前置詞+名詞)=副詞

正解
「私はテニスをしないことに退屈している」
I am tiered of not playing tennis.

解説
「be tired of」=「~に退屈する、~に疲れる」を使う。「前置詞」の後には名詞を置くので、今回は動名詞を置く。動名詞の否定形は「not」を動名詞の前に置く。「退屈する」のは「私」、「テニスをしていない」のも「私」なので、今回は意味上の主語は必要ない。

問題2「次の英文を和訳しましょう」(ヒントがあるから大丈夫です)

「彼女は彼に一所懸命働かないように頼んだ」

ヒント
①「ask」は「第4文型SVOO」と「第5文型SVOC」をとる
②第4文型「O(人)にO(道など)を尋ねる」と、第5文型「OがC(to do)するように頼む
③今回は第5文型「OがCするように頼む」を使う。

④この文の主語は「彼女」。「働く」のは「彼」
⑤よって「to不定詞」の「意味上の主語」は「彼」
⑥「to不定詞の意味上の主語」は「to」の前に目的格(he, his, him, his)を置く。

to不定詞の否定形」=to不定詞の前、意味上の主語の後に「not」を置く。

正解
She asked him not to work hard.
「彼女は彼に一所懸命働かないように頼んだ」

解説
第五文型SVOC「SVO(to do)」を使う。この文の主語は「彼女」で、「働く」のは「彼」。よってto不定詞意味上の主語は目的格「him」が必要になる。今回は「働かない」ことを求めるので、「to不定詞否定形」を使う。「to不定詞の否定形」はto不定詞の前、意味上の主語の後に「not」を置く。

動名詞とto不定詞の「過去形」

「動名詞」と「to不定詞」の「過去形」

動名詞の過去形=「having Vpp
to不定詞の過去形=「to have Vpp


「She denies having played tennis yesterday.」
「彼女は昨日テニスをしたことを否定する

「deny」(~を否定する)は動名詞を目的語にとる(SVOCも取れる語法がややこしい動詞)。「テニスをした」のは「過去」で「否定している」のは「現在」。時制が違うので「動名詞の過去形」である「having Vpp」(having played)を用いる。


My ground mother is said to have been beautiful.」
= 「It is said that my ground mother was beautiful.」
「私のおばあちゃんは美しかった言われている

形式主語「It~that」の文を、to不定詞を使って書き換えた形。「おばあちゃんが美しかった」のは「過去」で、「言われている」のは「現在」。時制が違うので、「to不定詞の過去形」である「to have Vpp(to have been)を用いる。

問題1「次の和文を英作文にしましょう」(ヒントがあるから大丈夫です)

「私は彼女が昨日学校に遅れたことに驚いている」

ヒント
「be surprised at ~」「~に驚く」を使う
「be late for ~」「~に遅れる」を使う
前置詞の後には「名詞」を置く。今回は「動名詞」を使う。

④「驚ている」のは「」、「遅刻した」のは「彼女
⑤よって、意味上の主語が必要になる。
動名詞の意味上の主語は「所有格」(She, her, her, hers)を使う。

⑦「驚ている」のは「現在」、「遅刻した」のは「過去」(昨日)
⑧よって、時制が異なるので動名詞の過去形を使う。
⑨「動名詞の過去形」は「having Vpp

正解
私は彼女が昨日学校に遅れたことに驚いている
「I am surprised at her having been late for school yesterday.」

解説
驚ている」のは「」、「遅刻した」のは「彼女」。文の主語動名詞の主語が違うので、意味上の主語を置く必要がある。動名詞意味上の主語は「所有格」(She, her, her, hers)を使う。

驚ている」のは「現在」で、「遅刻した」のは「過去」。時制が違うので、動名詞の過去形having Vpp(having been)を使う。

補足 
群動詞(be Vpp +前置詞)について

・一般的な考え方、教え方「S+群動詞V+O」
be surprised at ~(be Vpp +前置詞)→「他動詞」
be late for ~(be+形容詞+前置詞)→「他動詞」
この考え方だと、「前置詞」を使わない形に対応できなくなってしまいます。整序問題などが全く分からなくなってしまいます。

「SVC+副詞」という考え方に切り替えましょう。
「I am surprised.」「私は驚いた」は「受動態」の文で、第2文型SVC(S=C)の文です。
「I am surprised」だけで文が完成しています。SVCに「副詞を加えればよいのです。

「私はそのニュースを聞いて驚く」の4つ英作文。
①「I am surprised at the news
②「I am surprised at hearing the news
③「I am surprised to hear the news.
④「I am surprised when I hear the news.」

(「前置詞」+「名詞」)=「副詞句」
(「前置詞」+「動名詞」)=「副詞句」
③「to不定詞の副詞的用法=「副詞句」
④「接続詞+SV」=「副詞節」

★「副詞」をもっと勉強したい方はこちら★
英語(第5回)「副詞、前置詞+名詞」

この章をまとめ
形式主語「It」の構文の書き換え(重要)
「It is said that her sister is beautiful.」
Her sister is said to be beautiful.

動名詞の否定形=動名詞の前、意味上の主語の後に「not」を置く。
to不定詞の否定形=to不定詞の前、意味上の主語の後に「not」を置く。


動名詞の過去形=「having Vpp
to不定詞の過去形=「to have Vpp

3.「to不定詞の過去形」と「時制」(「be said」=「seem」)

「It is said that S Vp」→ 「S is said to have Vpp」の書き換え。「to不定詞の過去形」(重要)

問題「次の和文を英作文にしましょう」(ヒントがあるから大丈夫です)

「コロンブスは1492年にアメリカを発見したと言われている」
(書ける人は2つ書きましょう)

ヒント
①「Columbus」「コロンブス」
②「discover」「~を発見する」
③「in」は「月、季節、」につける前置詞
「at」は「秒、分、時間」、「on」は「日、週」

④今回はColumbus」を主語にして「to不定詞」で書きましょう、
⑤「言われている」のは現在、「発見した」のは過去
「to不定詞」の過去形は「to have Vpp」を使う。

⑦「It is said that Columbus discovered America in 1492.」
を書き換えよう。

正解
Columbus is said to have discovered America in 1492.」
「It is said that Columbus discovered America in 1492.」

解説
形式主語の構文「It ~ that」を、「to不定詞」を使った文に書き換えた構文。
①「that節の主語」「Columbus」を、文の主語に持ってくる。
②「名詞節を導く接続詞のthat」を「to不定詞の名詞的用法」に置き換えます。
③最後に「時制」を整える。

④「言われている」のは「現在」、「発見した」のは「過去
⑤「時制」のずれを「to不定詞の過去形」「to have Vpp」で表す。

英語は「時制」にうるさい言語です。今回の章の重要なテーマです。

「地動説と天動説」「鎌倉幕府の開始年号」の例文で覚える「to不定詞の過去形」と「時制」

形式主語の構文「It ~ that」を、「to不定詞」を使った文に書き換えた構文4種

S is sad to do(「現在」「現在」の「時制の一致」)
② S is said to have Vpp
(「現在」「過去」の「時制のずれ」)
③ S was said to do
(「過去」「過去」の「時制の一致」)
④ S was said to have Vpp(「過去」「大過去」の「時制のずれ」)


これだけでは覚えにくいので、「天動説、地動説の文章」 「鎌倉幕府の開始年号の文章」を作りましたので、それで覚えましょう。「大過去」の概念もつかめると思います。

問題1「次の和文を英作文にしましょう」(ヒントがあるから大丈夫です)

「地球は太陽の周りをまわっていると言われている」地動説

ヒント
①「the earth」「地球」、「the sun」「太陽」。
共に定冠詞「the」を付けなければいけない名詞
「the sea」「the forest」「the dark」「the light」「the God」
②「move」「動く」、前置詞「around」「~の周りを」を使う。

③「言われている」のは「現在」、「動いている」のも「現在
④「現在形」は現在やっている事だけではなく、習慣」「普遍的原理」「社会通念」も現在形で表す、

正解
The earth is said to move around the sun.」
「It is said that the earth moves around the sun.」

解説
S is sad to do(「現在」「現在」の「時制の一致」)の文。
習慣」「普遍的原理」「社会通念」も現在形で表すという点に注意、

問題2「次の和文を英作文にしましょう」(ヒントがあるから大丈夫です)

太陽は地球の周りをまわっていると言われていた天動説

ヒント
①今回「動く」のは「太陽
②「言われていた」のは「過去」、「動いていた」のも「過去
③「天動説」は当時の人たちにとっての「社会的通念普遍的原理」。当時の人たちにとっては現在形(要するに過去形)なので、時制のずれが無い時制の一致
④「時制の一致」しているときは、to不定詞」は形を変える必要はない。

正解
The sun was said to move around the earth.」
「It was said that the sun moved around the earth.」

解説
S was said to do(「過去」「過去」の「時制の一致」)の文。
「言われていた」のは「過去」、「動いていた」のも「過去」。「天動説」は当時の人「社会的通念普遍的原理」。当時の人たちにとっては現在形なので、時制のずれが無い時制の一致

that節の場合は「主文」(It was said)と「副文」(that the sun moved)の時制を一致させるために、副文の「move」を過去形にする必要がある。

to不定詞の場合は、「時制の一致」しているときは、to不定詞」は形を変える必要はない。

問題3「次の和文を英作文にしましょう」(ヒントがあるから大丈夫です)

「鎌倉時代は1185年に始まったと言われている」(今はこう教わるらしい)

ヒント
①「Kamakura period」「鎌倉時代
②「言われている」のは「現在」、「始まった」のは「過去
時制がずれているときは、to不定詞の過去形「to have Vpp」を用いる。

正解
Kamakura period is said to have begun in 1185.」
「It is said that Kamakura period began in 1185.」

解説
S is said to have Vpp(「現在」「過去」の「時制のずれ」)の文、
「言われている」のは「現在」、「始まった」のは「過去」。時制がずれている

that節の場合は「主文」(It is said)と「副文」(that Kamakura period began )の時制のずれを表現するために、主文の「is」を現在形、副文の「began」を過去形にする必要がある。

to不定詞の場合は、「時制がずれ」ているときは、「to不定詞の過去形」「to have Vpp」を用いる。

問題4「次の和文を英作文にしましょう」(ヒントがあるから大丈夫です)

鎌倉時代は1192年に始まったと言われていた」(昔はこう教えられてた)

ヒント
①「言われていた」のは「過去」、「始まった」のは「大過去
②「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府!」と「言われていた」のは10数年前
③「鎌倉時代」が「始まった」のは、10数年前よりももっと昔のころ。
(天動説の文章との違いを比較しよう)
④よって、時制がずれているので、過去の過去である「大過去」を使う
時制がずれているときは、to不定詞の過去形「to have Vpp」を使おう。

正解
Kamakura period was said to have begun in 1192.」
「It was said that Kamakura period had begun in 1192.」

解説
S was said to have Vpp(「過去」「大過去」の「時制のずれ」)の文
「言われていた」のは「過去」、「始まった」のは「大過去」で時制がずれている
「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府!」と「言われていた」のは10数年前
「鎌倉時代」が「始まった」のは、10数年前よりももっと昔のころ。

that節の場合は「主文」(It was said)と「副文」(that Kamakura period had begun )の時制のずれを表現するために、主文の「was」を過去形、副文の「had begun」を過去完了形にする必要がある。

to不定詞の場合は、「時制がずれ」ているときは、「to不定詞の過去形」「to have Vpp」を用いる。

この章のまとめ
形式主語の構文「It ~ that」を、「to不定詞」を使った文に書き換えた構文4種

S is sad to do(「現在」「現在」の「時制の一致」)
② S is said to have Vpp
(「現在」「過去」の「時制のずれ」)
③ S was said to do
(「過去」「過去」の「時制の一致」)
④ S was said to have Vpp(「過去」「大過去」の「時制のずれ」)


that節の場合
現在形」。「過去形」、「大過去」=「過去完了形 had Vpp」を使って時制を一致させたり時制をずらしたりする

to不定詞の場合
時制が一致しているとき→「何もしない」
時制がずれているとき→to不定詞の過去形「to have Vpp」を使う

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前回:英語(第7回)「to不定詞の3用法と意味上の主語」
次回:英語(第8回)「第4文型SVOO『授与動詞』と『第三文型SVOの書き換え(to, for)

以上で、第8回「動名詞とto不定詞の『意味上の主語』『否定形』『過去形』」「識別①は終わりです。

ご精読ありがとうございました。

今回はいつもよりも分量がものすごく多くなってしまいました。おそらく1回読んだだけでは内容を把握するのが難しいと思います。できれば、何回かに分けて読んだり繰り返し読んで復習されると良いと思います。

次回は第9回「第4文型SVOO『授与動詞』と『第三文型SVOの書き換え(to, for)』」にする予定ですので、よろしければ、次回も読んでいただけるとありがたいです。

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