英語の解き方や勉強法、参考書や問題集の紹介(第4回)「形容詞、限定用法と叙述用法」
皆さんこんにちは。七隈国英塾の杉久保です。
今回は(第4回)「形容詞、限定用法と叙述用法」を解説していきます。
英語の偏差値60を超えない原因は、突き詰めると形容詞にあると言っても過言ではないです。
それでは、七隈国英塾の作法にのっとり今回の要点を3行でまとめます。
①形容詞の用法は2つ。名詞を修飾する限定用法と補語になる叙述用法
②形容詞の働きをする文法は3つ。to不定詞、関係詞、分詞
③第5文型SVOCのCと形容詞の関係
★現代文、古文、英語の勉強法をまとめた記事はこちら★
国語、英語の読み方、解き方、勉強法や参考書、問題集の紹介
前回:英語(第3回)「SVC、be動詞と補語」
次回:英語(第5回)「副詞、前置詞+名詞」
この記事はこんな人が書いています
![](https://nanakumakokueijyuku.jp/wp-content/uploads/2021/03/A7303272.jpg)
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1.形容詞の用法は2つ。名詞を修飾する限定用法と補語になる叙述用法
形容詞の働きその1、名詞を修飾する限定用法
まず、形容詞の基本から
形容詞は「~い」「~しい」で終わる語です。
例えば、大きい、赤い、早い、美しい、素晴らしい、などですね。
形容詞は名詞を修飾します。大きい木、赤い服、早い時間、美しい花、素晴らしい映画、などです。
big wood
red clothes
early hour
beautiful flowers
wonderful movie
ここで大事なことは
修飾する=限定する
ということです。
![](https://nanakumakokueijyuku.jp/wp-content/uploads/2020/06/限定用法-1024x576.png)
図1を見て下さい。
左の丸で囲まれた部分は、この世のすべての花を表しています。
右の緑で囲まれたところは、「美しい花」と思ってください。
形容詞「美しい」は名詞「花」を限定しています(「制限する」とも言う)。
この世のすべての花よりも、美しい花のほうが少ないからです。
形容詞が名詞を修飾する用法のことを
形容詞の限定用法
と言います。
今すぐに覚えましょう。
形容詞の働きその2、補語になる叙述用法
形容詞には補語になる用法もあります、
例えば、屋久杉は大きい、バラは赤い、花は美しい
などです。
The Yakusugi is big.
The roses are red.
Flowers are beautiful.
形容詞が補語になる用法を
叙述用法(じょじゅつようほう)
と言います。
今すぐ覚えましょう。
今回の例文は、第2文型SVCのCになる用法です。
第二文型SVCの特徴は、①S=C、②Vにはbe動詞が入れることができる、③Cには名詞と形容詞が入る、の3つでしたね。分からない人は復習しましょう。
★第2文型SVCをまとめた記事はこちら★
第3回「SVC、be動詞と補語」
予習になりますが、第5文型SVOCのCにも形容詞が使えます。
I think it difficult to play tennis.
私はテニスをすることが難しいと思う。
第5文型の特徴は2つ。①O=C、②OCの関係がSVになる。
SVOCのCに形容詞が入る場合は、①O=Cの関係になります。
限定用法と叙述用法の違い
まず例文から
① This is a beautiful flower.
② This flower is beautiful.
①これは美しい花です。
②この花は美しい。
意味はほとんど同じですが、①と②の「beautiful」は用法が異なります。
①の形容詞「beautiful」は名詞「flower」を限定していますね。よって、①の「beautiful」は限定用法で使われています。(この文のCは「flower」です)
②の形容詞「beautiful」はSVCのCになっています。よって、②の「beautiful」は叙述用法で使われています。
冠詞「a」について補足します。
冠詞は名詞の前につくから冠詞と呼ばれます。(冠=かんむり)
①の文では名詞「flower」があるから冠詞「a」を置き、②の文では後ろに名詞が無いので「a」が付きません。
この章をまとめ
・形容詞は「~い」「~しい」で終わる語
・修飾する=限定する
・形容詞が名詞を修飾する用法を「限定用法」という
・形容詞が補語になる用法を「叙述用法」という
2.形容詞の働きをする文法は3つ。to不定詞、関係詞、分詞
to不定詞の形容詞的用法(限定用法、叙述用法)
to不定詞の基本から行きます。
「to」の後に動詞の原形が来ると、名詞になったり、形容詞になったり、副詞になったり、します。いろいろと変化し形が定まっていないから「不定詞」なのです。
問題「2つの『to』はそれぞれ前置詞と不定詞どちらでしょう」
I go to school to play tennis.
私はテニスをするために学校に行きます。
解答
to 前置詞
to to不定詞
解説
to school の「to」は後ろに名詞が来ているので前置詞の「to」
to play tennis の「to」は後ろに動詞の原形が来ているのでto不定詞の「to」
★前置詞を詳しく解説している記事はこちら★
第2回「SVとSVO、自動詞と他動詞」
問題「次のto不定詞の用法はそれそれ何的用法でしょうか」
① I want to play tennis.
② I want something to eat.
③ I go to school to play tennis.
④ My hobby is to play tennis.
⑤ I am glad to see you..
⑥ I want you to play tennis.(難問)
ヒント(訳)
①私はテニスをすることを求める。
②私は何か食べるためのものが欲しい。
③私はテニスをするために学校に行く。
④私の趣味はテニスをすることです。
⑤私はあなたにあえてうれしいです。
⑥私はあなたにテニスをしてほしい。
正解
①名詞的用法
②形容詞的用法(限定用法)
③副詞的用法
④形容詞的用法(叙述用法)or 名詞的用法? SVCのC
⑤副詞的用法
⑥形容詞的用法(叙述用法) SVOCのC
解説
名詞的用法:SとかOの名詞になる。「~することを(が)」と訳せる
形容詞的用法:名詞を修飾したり、C補語になる。「~するための」と訳せたり、第5文型SVOCの時は訳しにくかったりする。
副詞的用法:名詞以外を修飾する(動詞、形容詞、副詞、文全体)。「~するための」、「~して」と訳せる。
①SVOのOの部分がto不定詞になっている。「~することを」と訳せるので名詞的用法。
②to以下が名詞「somethig」を限定している。「~するための」と訳せるので形容詞的用法
③「~するために」と訳せるので副詞的用法。
④SVCのCになっているので、形容詞的用法か名詞的用法のどちらか
⑤「~して」と訳せるので副詞的用法。
⑥SVOCの第5文型、C補語にto不定詞が入っているので形容詞的用法。OとCの関係がSVの関係になる。テニスをするのは主語Sの「私」ではなく、目的語Oの「あなた」。このような目的語を「to不定詞の意味上の主語」と言います。詳しくは第7回「to不定詞、3用法と前置詞との違い」で詳しくやる予定です。
間違えた人はもう一度やってみましょう。
難しいメタ言語がたくさん出てきますが、分からない言葉があったら調べて少しづつ覚えていきましょう。
関係詞(限定用法のみ)
関係詞(関係代名詞、関係副詞)は前にある名詞(先行詞)を限定します。
名詞を修飾するので、関係詞は形容詞の限定用法と全く同じ働きをします。
![](https://nanakumakokueijyuku.jp/wp-content/uploads/2020/06/関係詞の制限用法-1024x576.png)
This is the book which I read yeasterday.
これは私が昨日読んだ本です。
「私が昨日読んだ」という関係代名詞が、先行詞(前にある名詞)を修飾(制限)しています。
関係詞は、第15回「関係詞①関係代名詞と関係副詞の違い」、第16回「関係詞②前置詞+関係詞」でやる予定です。とりあえず今は、「関係詞=形容詞の限定用法」と覚えましょう。
分詞(限定用法、叙述用法)
動詞を名詞にしたものはもちろん動名詞ですが、
動詞を形容詞にしたものが分詞です。
(分詞構文は副詞)
分詞は限定用法と叙述用法の両方で使います。
基本(最重要)
現在分詞(~ing) 能動「~する」
過去分詞(~ed) 受動「~される」
限定用法
1語なら前から修飾する。
2語以上なら後ろから修飾する。
叙述用法
SVCのCになる(受動態が一般的。現在分詞は特殊で気づきにくい)
SVOCのCになる(頻出。ここが分かると偏差値60が見えてくる)
![](https://nanakumakokueijyuku.jp/wp-content/uploads/2020/06/分詞-1024x576.png)
問題「以下の2つの文を訳しましょう」
① The sleeping baby is pretty.
② The baby sleeping in the bed is pretty.
正解
①寝ている赤ちゃんはかわいい。
②ベッドで寝ている赤ちゃんはかわいい。
解説
①赤ちゃんが「寝ている」ので能動。「sleeping」1文字なので前から修飾する。
②「sleeping in the bed」が2文字以上なので、後ろから修飾する。
問題「以下の2つの文を訳しましょう」
③ We must learn spoken English.
④ What is the language spoken in Brazil.
正解
①私たちは話される英語を学ばなければならない。
②ブラジルで話される言語は何ですか?(ちなみにポルトガル語です)
解説
①英語が「話す」のではなく、英語は「話される」ので受動。
②言語は「話される」ので受動。2文字以上なので後ろから修飾する。
問題「以下の2つの文を訳しましょう」
① I saw him swimming in the pool.
② I saw him surprised at the news.
正解
①私は彼がプールで泳いでいるのを見た。
②私は彼がそのニュースに驚かされているのを見た。
解説
①SVOCのCに分詞が入る形容詞の叙述用法。OとCの関係がSVになっている。彼が「泳いでいる」ので能動。
②SVOCのCに分詞が入る形容詞の叙述用法。OとCの関係がO=Cになっている。彼が「驚かされている」ので受動。
★②が良く分からない人はこれの2章を読もう★
第3回「SVC、be動詞と補語」
この章をまとめ
・形容詞の代わりになるものは3つ
・to不定詞の形容詞的用法(限定用法、叙述用法)
・関係詞(限定用法のみ)
・分詞(限定用法、叙述用法)
3.第5文型SVOCのCと形容詞の関係
第5文型SVOCのCに名詞が入るのは例外
補語Cに入るのは名詞か形容詞ですが、
第5文型SVOCのCに入るのはほとんど形容詞です。
名詞が入るのは例外中の例外ですが、実は第5文型SVOCを初めて習う中3でやっています。
第5文型SVOCの2つの特徴
①O=Cになる
②OCがSVの関係になる
例文
① They elected him chairman.
② You can call me Meg.
③ They named their baby Jenny.
訳
①彼らは彼を議長に選んだ。(彼=議長)
②あなたは私のことをMeg(メグ)と呼んでね。(私=メグ)
③彼らは彼らの赤ちゃんをJenny(ジェニー)と名付けた。(彼らの赤ちゃん=ジェニー)
解説
動詞Vが「elect(~を選ぶ)」,「call(~と呼ぶ)」,「name(~と名付ける)」の時だけ、第5文型SVOCのCに名詞が入る。この時のOCの関係はO=Cとなる。
O=Cになる場合、Cは「形容詞」か「過去分詞(~ed)」
SVOCのCに何を入れるのかは、問題としてたくさん出されますよね。
問題「( )に入るものを①~④から選びましょう」
You must keep your room ( ).
① clean ② cleaned ③ cleaning ④ to clean
ヒント
①訳「あなたはあなたの部屋をきれいにしておかなければならない」
②あなたの部屋=きれい O=Cの関係である。
③「あなたの部屋がきれいにする」わけではない。OC→SVの関係ではない
④O=CのときのCは、形容詞か過去分詞(~ed)
⑤OC→SVのときのCは、to不定詞か現在分詞(~ing)
⑥「clean」は動詞だけではない。(重要)
正解
① clean (形容詞)
注:②cleaned (過去分詞)は文法的には正解。しかし、語法的には① clean (形容詞)を使う。難関私立を受験する人は語法も重要です。
解説
OCの関係を見るとあなたの部屋=きれい O=Cの関係である。よってCに入るのは形容詞か過去分詞のどちらかになる。「clean」は動詞「~をきれいにする」もあるが、形容詞「きれい」の用法もある。今回は語法的に形容詞「clean」を使う。
「This room is clean.」は自然だが、
「This room is cleaned.」はちょっと不自然。
理解しよう
O=CのときのCは、「形容詞」か「過去分詞(~ed)」
OC→SVのときのCは、「to不定詞」か「現在分詞(~ing)」
OCの関係がSVになる場合、Cは「to不定詞」か「現在分詞(~ing)」
OC→SVの関係の時は、「to不定詞(原型不定詞)」か「現在分詞」のどちらかです。
偏差値60近辺の私立大学は「to不定詞」か「現在分詞」かの2択をよく主題してきます。
「to不定詞」と「現在分詞」の違い
①「to不定詞」 1回限りの動作
②「現在分詞」 継続する動作
問題1「( )に入るものを①~④から選びましょう」
I saw him ( ) the door.
① open ② opening ③ opened ④ to open
ヒント
①訳「私は彼がドアを開けるのを見た」
②「彼がドアを開ける」ので能動の関係。OC→SVの関係である。
③OC→SVのときのCは、to不定詞か現在分詞(~ing)
④see, hear, feel, などの知覚動詞が来た時、
to不定詞の「to」を省略して動詞の原形だけが残る。
これを「原型不定詞」という。
I wanted you to play tennis.
I saw you to play tennis.
⑤「to不定詞」は1回限りの動作
⑥「現在分詞」は継続する動作
正解
① open (原型不定詞)
解説
OCの関係を見ると「彼がドアを開けた」ので、能動の関係OC→SV。Cに入るのは「to不定詞」か「現在分詞(~ing)」。「ドアを開ける」のは1回の動作なので「to不定詞」。今回はSVOCのVに知覚動詞が来ているので、原型不定詞「open」を使う。
原型不定詞
SVOCのVに知覚動詞(see, hear, feel,)
使役動詞(make, have, let, help, get) が来た時、
to不定詞の「to」を省略して動詞の原形だけが残る。
これを「原型不定詞」という
注1:使役動詞「get」だけは原型不定詞を取らない
I made you play tennis.
I got you to play tennis.
「私はあなたにテニスをさせる」
注2:使役動詞「help」は原型不定詞を取ったり(アメリカ用法)
取らなかったりする(イギリス用法)。
問題2「( )に入るものを①~④から選びましょう」
I saw him ( ) on the ground.
① run ② running ③ ran ④ to run
ヒント(分かる人はノーヒントでやりましょう)
①訳「私は彼が運動場を走っているのを見た」
②「彼が走るので」能動の関係。OC→SVの関係。
③OC→SVのときのCは「to不定詞」か「現在分詞」
④「saw」は知覚動詞
⑤「to不定詞」は1回限りの動作
⑥「現在分詞」は継続する動作
正解
② running (現在分詞)
解説
「彼が運動場を走る」ので能動。OC→SVの関係。このときのCは「to不定詞」か「現在分詞」のどちらか。「走る」のは継続する動作なので、現在分詞「running」が正解。
「彼は1時間走っている」と言いますが(走ることを継続する)
「彼は1時間ドアを開けている」とはふつう言いませんよね。
問題3「( )の中の形を変えましょう。(変えなくてもいいかも)」
① We kept the fire (burn)
② I have him (check) my batting form.
③ Do not leave the door ( open ).
④ I am sorry to have kept you ( wait ). 難問
ヒント
①「burn」は「燃える」
②「have」は使役動詞
③「open」は動詞だけど…。開店中(?)閉店中(closed)
④ノーヒント。頻出表現なのでこのまま覚えましょう。
正解
① burning (現在分詞)
② check (原型不定詞)、checking(現在分詞)
③ open(形容詞)
④ waiting(現在分詞)
解説
①「火が燃える」ので能動の関係。燃え続けるので継続の現在分詞を入れる。
②「彼がチェックする」ので能動の関係。
1回だけチェックするなら「check」原型不定詞。
継続して何回もチェックしてくれるのなら「checking」現在分詞。
③「ドアが開ける」のではないので、O=Cの関係。
「open」には形容詞の用法もあるので、そのまま「open」を入れる。
開店中「open」(形容詞)⇔閉店中「closed」(過去分詞)
「close」には形容詞の用法が無いので過去分詞にしている。
④日本人の感覚だと「待つ」のではなく「待たされる」と感じるので、「waited」(過去分詞)を入れてしまう。
しかし、向こうの人の感覚だと「自分の意志で待つ」と能動的に考えるので、継続の現在分詞を入れる。
この章のまとめ
・第5文型SVOCの2つの特徴
①O=Cになる。②OCがSVの関係になる
・O=Cになる場合、Cは「形容詞」か「過去分詞(~ed)」
・OC→SVになる場合、Cは「to不定詞」か「現在分詞(~ing)」
・「to不定詞」は1回限りの動作、「現在分詞」は継続する動作
・使役動詞と知覚動詞がVの時、原型不定詞をとる。
・使役動詞(make, have,let,help,get to)は必ず覚えよう
★現代文、古文、英語の勉強法をまとめた記事はこちら★
国語、英語の読み方、解き方、勉強法や参考書、問題集の紹介
前回:英語(第3回)「SVC、be動詞と補語」
次回:英語(第5回)「副詞、前置詞+名詞」
以上で、第4回「形容詞、限定用法と叙述用法」は終わりです。
ご精読ありがとうございました。
今回取り扱った形容詞は、様々な文法にまたがる重要な単元です。1回では消化しきれないと思いますので、他の回で詳しい補足を入れていくつもりです。
次回は第5回「副詞、前置詞+名詞」にする予定ですので、よろしければ、次回も読んでいただけるとありがたいです。