現代文の解き方や勉強法、参考書や問題集の紹介(第3回)「論説文の読み方①接続詞」
みなさんはじめまして。
七隈国英塾の杉久保英司と申します。当ホームページをご覧いただきありがとうございます。
今回は「論説文の読み方①接続詞」を解説して聞きます。
「接続語」が使えると、難しい論説文でも速く的確に筆者の主張だけ読み取れるようになります。
なぜならば、単純な「接続詞」のルールを理解するだけで、
「じっくり精読しなければならない部分」と「読み流してもいい部分」がはっきりと分かるようになるからです。
それでは、七隈国英塾の作法にのっとり今回の要点を3行でまとめます。
①「逆接」は「対比」の接続詞。「逆接」後ろだけ読もう
②「順接」は「因果」の接続詞。「順接」の前に原因・理由が書いてある
③「言い換え」は「=イコール」の接続語。「言い換え」の後の「短くて簡単」な部分だけ理解できれば良し
★現代文、古文、英語の勉強法をまとめた記事はこちら★
国語、英語の読み方、解き方、勉強法や参考書、問題集の紹介
前回:現代文(第2回)「小説文の読み方」
次回:現代文(第4回)「論説文の読み方②指示語」
1.覚える接続語は「逆接」「順接」「言い換え」の3つだけ
接続語「逆接」「順接」「言い換え」の3つの意味
①逆接(対比関係)「しかし、」「~が」「~だが」
②順接(因果関係:いんがかんけい)「したがって、」「ゆえに、」「~ので」「なぜならば、」
③言い換え(=イコールの関係)「言い換えれば、」「つまり、」「ようするに、」
2.「逆接」は「対比」の接続詞。「逆接」後ろだけ読もう
逆接の後に筆者の意見が書いてある
逆接の接続語(接続詞、接続助詞)は、「しかし」「~けど」「~でも」」「~だが」などです。
前の文と後ろの文の関係が逆なので逆接と呼ばれます。
例えば、「彼のお兄さんは背が高いが、彼の背は低い」というように前の文と後ろの文が逆になっています。
「しかし」などの逆接の接続語の後に作者の意見が書いてある
ということを知っている人は多いと思います。
しかし、なぜそうなのかを理解している人は少ないです。
知識として知っているだけだはあまり役に立たないと思います。
逆接を用いた文章の書き方や、文章の「対比構造」を理解してないと、
作者の意見を早く正確に読み取るのは難しいのです。
逆接を用いた文章の対比構造
筆者は自分の意見を何度も形を変えて述べますが、自分の意見だけを述べているわけではありません。
必ず、自分の意見と「反対の意見」も文章中に書きます。
なぜなら、自分の意見だけを一方的に述べると、一面的で客観性の欠けた文章になるからです。
必ず、「自分の意見」と「反対の意見」とを対比して、良い点や悪い点や相違点などを比較検討します。
そのほうが多面的で客観性のある文章になるからです。
論説文の「二項対立」
①先に自分とは「反対の意見」について書きます。
②逆接の接続詞「しかし」などで、文章をつないで、
③後に「自分の意見」を述べていくのです。
小論文やディベート(討論)などもこの構造を指導されます。
このような文章の対比構造があるので、逆接の後が筆者の意見なのです。
練習問題で「逆接」を使って筆者の意見を読み取ろう
それでは、実際の例文で練習してみましょう。
問題「筆者の主張が書かれている部分はどこでしょう」
おそらく、皆さんはこのページにたどり着く前に、かなり具体的な現代文の読み方や解き方のコツやテクニックがたくさん書かれたページを見ていると思います。書かれていることはどれも正しく、とても勉強になります。見ていない人は「現代文 読み方」で検索することをおすすめします。しかし、正しい読み方、解き方のコツやテクニックは知識として頭でわかっていても、理解して感覚がつかめていないと使うことができないのです。
例文は第1回「現代文ができない3つの要因」からの引用。
正解
逆接「しかし」の後ろに書いてある「正しい読み方、解き方のコツやテクニックは知識として頭でわかっていても、理解して感覚がつかめていないと使うことができない」という部分です。
逆接の後が筆者の意見でしたね。
問題を解くときは、逆接の接続語にマークをして、その後の文に線を引くようにしましょう。
おそらく、皆さんはこのページにたどり着く前に、かなり具体的な現代文の読み方や解き方のコツやテクニックがたくさん書かれたページを見ていると思います。書かれていることはどれも正しく、とても勉強になります。見ていない人は「現代文 読み方」で検索することをおすすめします。しかし、正しい読み方、解き方のコツやテクニックは知識として頭でわかっていても、理解して感覚がつかめていないと使うことができないのです。
この章のまとめ
・「逆接」の後が「筆者の主張」である
・よって「逆接」にマークをして、その「後ろ」に線を引っ張って読めば良い(必ずやろう)
・「反対の主張、しかし、筆者の主張」が文章の「対比構造」
・対比構造を理解して逆接を使おう
3.「順接」は「因果」の接続詞。「順接」の前に原因・理由が書いてある
順接の接続語は「原因」と「結果」をつなぐ
順接の接続語(接続詞、接続助詞、副詞)は、「したがって」「~だから」「よって」などです。
前の文が「原因」で、後ろの文が「結果」になる
因果関係の接続語です。
原因→結果の順番は、入れ替えることができません。
順番が決まっているから順接なのです。
たとえば、
「とても暑かったので、クーラーをつけた」
「クーラーをつけたので、とても暑かった」!?
となり意味が通じなくなります。
「とても暑かった」が原因で、「クーラーをつけた」のはその結果です。
原因→結果の順番は入れ替えできないのです。
難しく言うと因果律(律は法則の意味)は覆せないのです。
ちなみに、「なぜならば」は「結果、なぜならば、原因」の順になります。
「クーラーをつけた。なぜならば、とても暑かったからだ」となります。
補足:「順接」と「単純接続」の違い(良く聞かれる質問)
1.順接=因果関係(いんがかんけい)「したがって、」「ゆえに、」「~ので」
因果関係とは「原因(因)」と「結果(果)」の関係。「原因」と「結果」は逆にすることはできない(いわゆる因果律は覆せない)
例)
暑かったので、クーラーをつけた。
「暑かった」のが原因で、「クーラーをつけた」のはその結果。
「クーラーをつけた」ので「暑くなる」ということはない。
暑かった。したがって、アイスを食べた。
「暑かった」のが原因で、「アイスを食べた」のはその結果。
「世界中がアイスを食べるのをやめた」。したがって、「地球温暖化が止まった」バカな!
2.単純接続(つながってるだけ)「て」「と」
例)
ボクとお母さんとお父さんでプールに行った。
「ボク」「お母さん」「お父さん」どの順番でも文意は変わらない。
夏休みは、映画を見て、おばあちゃん家に行って、プールに行きたいと思います。
「映画」「おばあちゃん家」「プール」どの順番でも文意は変わらない。
順接の前が「原因」や「理由」になる
設問で「~であるのはなぜですか」と聞かれたら、
順接の前の接続語を探して、その前の部分を読みましょう。
「したがって」「~だから」「よって」などの順接の前が、「原因」や「理由」になっているからです。
小学生や中学生の受験ではよく出題されるので、順接の接続語を利用しましょう。
高校生は順接は因果関係の接続語であることを理解しておくと、古文文法や漢文文法(~レバ、即(すなはち)など)がはかどります。
練習問題で「順接」を使って「~なぜですか?」問題を解いてみよう
問題「テーマについて詳しいことが重要なのはなぜですか」
筆者は独自の主張をします。難しい文章では、使う言葉も一般的な意味ではなく、狭義(きょうぎ、特殊、特別)の意味で定義します。その文章でだけ使える言葉を筆者が作り、その言葉を使って、特別で高度なことを論じるのです。筆者はその分野のテーマで論じられている事とは、異なることや今までに無かったものを主張することが多いのです。テーマについて知らないのに、筆者の論じるより複雑で特異なことが理解できるわけありません。したがって、高校生の大学入試問題では論じられているテーマについてある程度詳しいことが重要なのです。
第1回「現代文ができない3つの要因」からの引用。
正解
順接「したがって」の前に書いてある1文「テーマについて知らないのに、筆者の論じるより複雑で特異なことが理解できるわけないから」となります。
設問要求で理由(なぜですか?)を聞かれたら「~から」「~ので」と最後につけましょう。
「したがって」「~だから」「よって」などの
順接の前が「原因」「理由」でしたね。
問題を解くときは、順接の接続語にマークをして、その前の文に線を引くようにしましょう。
筆者は独自の主張をします。難しい文章では、使う言葉も一般的な意味ではなく、狭義(きょうぎ、特殊、特別)の意味で定義します。その文章でだけ使える言葉を筆者が作り、その言葉を使って、特別で高度なことを論じるのです。筆者はその分野のテーマで論じられている事とは、異なることや今までに無かったものを主張することが多いのです。テーマについて知らないのに、筆者の論じるより複雑で特異なことが理解できるわけありません。したがって、高校生の大学入試問題では論じられているテーマについてある程度詳しいことが重要なのです。
この章のまとめ
・順接の前が「原因」「理由」になる。
・よって、「順接」にマークをして、その前に線を引っ張って読めばよい。(必ずやろう)
・「単純接続」はつながっているだけ。「順接」と間違えないようにしよう
・「なぜですか?」と聞かれたら「~から」と最後につけよう
4.「言い換え」は「=イコール」の接続語。「言い換え」の後の「短くて簡単」な部分だけ理解できれば良し
言い換えの接続語
言い換えの接続語は、「つまり」「要するに」「言い換えると」などです。
文章を要領よく速く読むためにとても重要な接続語です。
例を挙げます。
難解でとても難しいことが長々と3~4行も書かれてある文章。つまり、簡単な1行の文。
という形になります。
前の文と後ろの文の書かれていることは全く同じです。
このような時は、
言い換えの接続語の後だけを読みましょう。
前の難しい文章を必死になって読む必要がありません。
言い換えの接続語の前は難しいので、理解できなくても大丈夫です。
流し読みをして文章をできるだけ速く読みましょう。
言い換えの接続語の後だけ理解出来たら大丈夫です。
練習問題で「言い換え」の接続語を使って文を速く読む練習をしよう
問題「以下の文を25字以内でまとめてしてください」
「火事が起こったとき、左側の家の右壁と右側の家の左壁を守らなければならない。なぜならば、左側の家の左壁を守ろうとするならば、その家の右壁は左壁の右側にあることになり、右壁は左壁よりも火事に近くなるからである」。つまり、下記の(図1)のように延焼を防ぐため火に近い方の壁を守るべきということである。
注)例文のカッコ内はダメな文章の悪いお手本(リヒテンベルクの「火災対策論」)です。
正解
「延焼を防ぐため火に近い方の壁を守るべきである。」(23文字)となります。
言い換えの接続語「つまり」の前の文章と後ろの文章の内容は同じなので、
「つまり」の後だけ読みましょう。
「つまり」の前は流し読みしましょう。
問題を解くときは、言い換えの接続語「つまり」にマークをして、その後の文に線を引くようにしましょう。
「火事が起こったとき、左側の家の右壁と右側の家の左壁を守らなければならない。なぜならば、左側の家の左壁を守ろうとするならば、その家の右壁は左壁の右側にあることになり、右壁は左壁よりも火事に近くなるからである」。つまり、下記の(図1)のように延焼を防ぐため火に近い方の壁を守るべきということである。
簡単なことほど、詳しく説明しようとすると長く難しい文章になったり、最近は文章の量が多くなる傾向にあります。
言い換えの接続語を使って速く読めるようになりましょう。
この章のまとめ
・「言い換え」の接続語「つまり」「要するに」「言い換えると」の後だけ分かれば大丈夫。
・よって、「言い換え」にマークをして、その前に線を引っ張って読めばよい。(必ずやろう)
・「つまり」「要するに」「言い換えると」の前の文は「流し読み」で速く読もう。
・「言い換え」の後ろを「精読」しよう。
補足:話題の転換の接続語
話題の転換の接続語は、「さて」「では」「ところで」などです。
話題を本筋(筆者の主張)に戻したり、話題を本筋から外したりする接続語です。
「さて」「では」は文章を筆者の主張に戻すときに使われます。
「ところで」は文章が筆者の主張から外れるときに使われます。
よって、
「さて」「では」の後が筆者の主張。
「ところで」の前が作者の主張。
となります。
「さて」「では」の後は筆者の主張が書かれれるので注意して読みましょう。
「ところで」の後は重要ではないので、流し読みして速く読みましょう。
補足のまとめ
・「さて」「では」の後ろが筆者の主張
・「さて」「では」の後は、「精読」しよう
・「ところで」の前が筆者の主張。
・「ところで」の後は、「流し読み」して速く読もう。
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「鬼婆ストップ」の練習を10回繰り返せば、必ず主語が取れるようになりますので、ぜひやって下さいね。
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国語、英語の読み方、解き方、勉強法や参考書、問題集の紹介
前回:現代文(第2回)「小説文の読み方」
次回:現代文(第4回)「論説文の読み方②指示語」
以上で、第3回「論説文の読み方①接続詞」は終わりです。
ご精読ありがとうございました。
第4回は「論説文の読み方②指示語」にする予定です。指示語は論説文の点数が取れない最大の原因です。
よろしければ、次回も読んでいただけるとありがたいです。