古文の解き方や勉強法、参考書や問題集の紹介(第10回)「主語が変わる助詞『を、に、ば、ば、ども、が、とも、を、に(鬼婆どもが友鬼)』変わらない助詞『て、で、して、つつ、ながら』」

みなさんはじめまして。

七隈国英塾の杉久保英司と申します。当ホームページをご覧いただきありがとうございます。

今回は第10回「主語が変わる助詞『を、に、ば、ば、ども、が、とも、を、に(鬼婆どもが友鬼)』変わらない助詞『て、で、して、つつ、ながら』」を解説していきます。

古文の難しさは「主語の特定」にあります。いきなり主語が変わっているように見えますが、主語が変わる箇所は決まっています接続助詞・格助詞「を、に、ば、ば、ども、が、とも、を、に(鬼婆どもが友鬼)」で主語が変わる可能性があり、それ以外では変わりません。

ここを押さえるだけで、古文読解が劇的に捗ります。また、主語が変わること以外にもかなり重要な文法単元なので、分かりやすく解説します。ぜひ身につけて古文嫌いを克服して頂きたいと思っています。

それでは、七隈国英塾の作法にのっとり今回の要点を3行でまとめます。

接続助詞格助詞を、」「に、」「ば、」「ば、」「ど・ども、」「が、」「とも、」「を」「に」(鬼婆どもが友)で主語が変わる
②接続助詞「て」「で」「して」「つつ」「ながら」は主語が変わらない
格助詞「を」「に」は、読点「、」が無いのにいきなり主語が変わる

目次

国語、英語の読み方、解き方、勉強法や参考書、問題集の紹介

「現代文」「古文」「英語」のまとめリンクになっています
第1回に参考書・問題集の紹介を行っております。
できるだけ分かりやすく伝えることで、皆さんの成長のきっかけとなれば良いなあと思っています。

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(第8回)「選択問題の解き方『消去法の5つのコツ・線引きのコツ』(共通テスト)2024年最新版」

①「消去法」と「直接法」
②「正解」と「不正解」の4つの基準
③「2択で迷ったら?」

「消去法」の5つの基準
⑤「早く読む・解く『線の引き方』」

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前回:第9回「助動詞②推量系助動詞の意味・確述用法・撥音便の解説」

次回:第11回「未然形接続の助動詞『る・らる・す・さす・しむ・ず・じ・む・むず・まし・まほし』」

1.接続助詞・格助詞「を、」「に、」「ば、」「ば、」「ど・ども、」「が、」「とも、」「を」「に」(鬼婆どもが友鬼)で主語が変わる

図1.主語が変わる助詞『を、に、ば、ば、ども、が、とも、を、に(鬼婆どもが友鬼)

接続助詞格助詞を、に、ば、ば、ども、が、ともを、に(鬼婆どもが友鬼)」で主語が変わる可能性がありそれ以外では変わりません。(注:接続助詞「ものを・ものの・ものから・ものゆゑ」でも主語が変わりますが、はっきり言って重要ではなく、覚える必要もないので今回は取り扱いません)

ただし、必ず主語が変わるわけではなく「主語が変わったり、同じだったりします」。対処法は「を、に、ば、ば、ども、が、とも、を、に(鬼婆どもが友鬼)」が来たら、一度文を読むのをストップ(鬼婆ストップ)します。そして、前の文(部分)と後ろの文(部分)の「敬語」や「文脈」から、「主語が同じか?」「主語は変わっているのか?」を判断します。

私が古文を読むときや指導をする際には、いつも「友鬼である鬼婆どもの襲撃」を意識しています。つまり、主語を取り違えないように「主語が変わる助詞」に注意を払っているということです。

ちなみに、赤鬼婆(接続助詞「を、」「に、」)と青鬼(格助詞「を」「に」)では、青鬼(格助詞「を」「に」)の方が圧倒的に強いです。なぜならば、読点(とうてん)「、」の無いところでいきなり主語が変わるからです。これは第3章で取り扱います。また、最重要文法である「に」の識別も3章の最後で取り扱いますので、最後まで読んで頂けると幸いです。

文法知識は知っているだけでは意味がありません。「実際の古文文章でこの通りにやる練習(鬼婆ストップの練習)を積み重ねましょう」。10個の古文問題でこの練習をすれば、ほとんどの子は古文の主語が補えるようになります。

接続助詞「を、」「に、」は順接・逆接・単純接続(要するに全ての意味を持つの接続語)

古文は現代語のように「しかし、(逆接)」「したがって、(順接)」などの独立した接続詞がありません。

そのかわりに接続助詞「を、」「に、」が全ての接続語(「順接」「逆接」「単純接続」)の代わりになりますになります。よって、接続助詞「を、」「に、」が来たら、一度立ち止まって前と後ろの文を見て、文と文をつなぐ接続詞を補う必要があります。また、接続助詞「を、」「に、」では「主語が変わる可能性」があるので、主語を補う必要があります。

つまり、接続助詞「を、」「に、」という文章が表れた場合

①必ず、1度立ち止まる(鬼婆ストップ
接続語を補う(「順接?」「逆接?」「単純接続?」)
「主語が変わっている?」「変わっていない?」の確認する

必ず、この3つのことを同時にやらなければならないのです。古文ができる人はノンストップでバンバン訳をしていきますが、古文ができない人ができるようになるためには、この①~③過程を練習することが不可欠です。私自身や私が教えた生徒さんたちも初めのうちはこの練習をやってきました。皆さんも今からやってみましょう。古文の力がメキメキつきますよ

この接続助詞「を、」「に、」の3つの意味

①順接(因果関係:いんがかんけい)「したがって、」「ゆえに、」「~ので」
②逆接(対比関係)「しかし、」「~が」「~だが」
③単純接続(つながってるだけ)「て」「と」


この3つのいずれかを当てはめて訳をしていきます

補足:「順接」と「単純接続」の違い(良く聞かれる質問)

1.順接=因果関係(いんがかんけい)「したがって、」「ゆえに、」「~ので」
因果関係とは「原因()」「結果()」の関係。原因」と「結果」は逆にすることはできない(いわゆる因果律は覆せない)

例)
暑かったのでクーラーをつけた
「暑かった」のが原因で、「クーラーをつけた」のはその結果
クーラーをつけた」ので「暑くなる」ということはない。

暑かったしたがってアイスを食べた
「暑かった」のが原因で、「アイスを食べた」のはその結果
世界中がアイスを食べるのをやめた」。したがって、「地球温暖化が止まった」バカな!



2.単純接続(つながってるだけ)「て」「と」

例)
ボクお母さんお父さんでプールに行った。
「ボク」「お母さん」「お父さん」どの順番でも文意は変わらない。

夏休みは、映画を見、おばあちゃん家に行っ、プールに行きたいと思います。
「映画」「おばあちゃん家」「プール」どの順番でも文意は変わらない。

問題「接続助詞『を、』『に、』主語接続詞を補って読みましょう」

①あやしがりて見る筒の中光たり。(あやし=不思議)
②(青々とした築山を)人はことに目もとどめぬあはれとながむるほどに、(ぬ=打消)
③(姉さん達が源氏物語を)語るを聞くいとどゆかしさまされど、(ゆかし=読みたい)

正解

①あやしがりて見る筒の中光たり。
(お爺さんが)不思議がってみる竹の筒の中が光った。
単純接続主語が変わる

②(青々とした築山を)人はことに目もとどめぬあはれとながむるほどに、
人は(築山)に特に目を留めないけど(私は)感慨深くぼーとみていた時に、
逆接主語が変わる

③(姉さん達が源氏物語を)語るを聞くいとどゆかしさまされど、
姉さん達が物語のことを語るのを(私は)聞いたので(私は)ますます物語が読みたくなったけれど、
順接)(主語は変わらない)

解説

①あやしがりて見る筒の中光たり。
(お爺さんが)不思議がってみる竹の筒の中が光った。

竹取物語の冒頭です。「おじいさんが竹を見ること」と、「竹が光ること」には因果関係はありません。よって、単純接続となります(順接「~ので」とよく間違えます)。たとえば、「スイッチを入れる」→「電灯が付く」には因果関係がある。
接続助詞「に、」の前後で「竹取の翁(おきな)」「(竹の)筒の中」で主語が変わっている


②(青々とした築山を)人はことに目もとどめぬあはれとながむるほど
人は(築山)に特に目を留めないけど(私は)感慨深くぼーとみていた時に、

和泉式部日記の一節です。「他の人は築山を見ない」だが「私は築山をぼーっと見る」2つの文は逆なので、逆接となります。ちなみに、最後の「に」は格助詞の「に」です(今は気にしなくても大丈夫です)。
接続助詞「に、」の前後で「他の人」、「私」で主語が変わっている


③(姉さん達が源氏物語を)語るを聞くいとどゆかしさまされど、
姉さん達が物語のことを語るのを(私は)聞いたので(私は)ますます物語が読みたくなったけれど、

更級日記(さらしなにっき)の冒頭です。「私が物語の話を聞く」「私は物語を読みたくなる」には因果関係があります。よって、順接となります。
また、前の文と後ろの文で主語が変わっていません。
ちなみに最後の「ど」は逆接確定条件の接続助詞「ど」(~なんだけれども)です(この後すぐにやります)。主語が変わって「誰が源氏物語を全部集めて見せてくれる人がいるだろうか?いやいない」とつながります。

順接仮定条件「ば」、順接確定条件「ば」、逆接仮定条件「とも」、逆接確定条件ら「ど・ども」

接続助詞「ば」「ば」「とも」「ど・ども」の4つは、「主語が変わる」ので重要ですが、「4つの意味の違い」を押さえることもものすごく重要です(受験に最頻出

接続助詞「ば」「ば」「とも」「ど・ども」

未然形+「ば」順接仮定条件「(もし)~したならば」
已然形+「ば」順接確定条件「(実際に)~したので」
終止形+「とも」逆接仮定条件「(もし)~したとしても」
已然形+「ど・ども」逆接確定条件「(実際に)~したけれど」

4つとも「意味が違います」。全部「主語が変わる可能性がある」。

例文)この通りに覚えましょう必ず困った時に皆さんを助けてくれます
呼ばば、来る。
呼べば、来る。
呼ぶとも、来ず。
呼べど、来ず。(=呼べども、来ず)。

呼ぶ(4段活用)
未然 連用 終止 連体 已然 命令
  び    ぶ    べ

訳)
呼ばば、来る。
(もし)呼んだとしたら、来るだろう(順接仮定条件)
要するに「未だ(いまだ)呼んでいないけど、もし呼んだとしたら来てくれるだろう」という「順接仮定の話」

呼べば、来る。
(実際に)呼んだので、来た(順接確定条件)
「已に(すでに)呼んだので、実際に来てくれた」という「順接確定した話」

呼ぶとも、来ず。
もし)呼んだとしても、来ないだろう(逆接仮定条件)
「未だ呼んでないんだけど、もし呼んだとしても来ないだろう」という「逆接仮定の話」

呼べど、来ず。
呼んだけど、来てくれなかった(逆接確定条件)
「已に呼んだんだけど、来てくれなかった」という「逆接確定の話」

補足:そもそも「未然形」「已然形」とは?

未然形」とは「未(いま)だ存在しない形」
「然」は「存在する」という意味。たとえば、「自然」や「天然」など。
「未然形+ば」が「順接仮定条件」の意味なのは、未然形がまだ存在してない形だから。

未然形+「ず(打消しの助動詞)」
未然形+「じ(打消し推量・意志の助動詞)」
未然形+「で(打消し単純接続の助詞)」
未然形+「む(ちょい未来の推量系助動詞 スイカ止めて+婉曲)」

などが「未然形接続」なのは「まだ存在していない」ため。
終止形+「とも」が「逆接仮定条件」なのは、例外です。
文法にも例外はあるのです。頑張って覚えましょう。


已然形」とは「已(すでに)存在している形」
已然形+ば」が「順接確定条件」、「已然形+ど・ども」が「逆接確定条件」の意味なのは、已然形が既に存在している形だから。

サ変の未然・四段の已然+「り(完了の助動詞)」

が「已然形接続」なのは「すでに存在している」ため。

問題接続助詞の「接続」と「意味」に注意して訳しましょう(主語は2つとも変わります)」

①柿食へば、鐘が鳴るなり法隆寺。
②君死にたまふうことなかれ、旅順の城はほろぶとも、

ヒント
①「食へ」は何形かを考えよう。
②「ほろぶ」は何形かを考えよう。

③動詞の活用に困ったら「食ふ」「ほろぶ」の下に
未然 連用 終止 連体 已然 命令
ず  て  。  時  ど  命令
を付けてみよう。(ピンク線が分からなかった人は今すぐ覚えよう)

④例文を思い出そう
呼ばば、来る。
呼べば、来る。
呼ぶとも、来ず。
呼べど、来ず。

正解
①柿食へば、鐘が鳴るなり法隆寺
「柿を食べたので鐘が鳴ったのだ法隆寺
已然形+ば」なので、「順接確定条件」で訳をする。
出典は正岡子規(まさおかしき)の俳句。
「順接確定条件」だが、因果関係は無い。

②君死にたまふうことなかれ、旅順の城はほろぶとも、
「君(弟よ)死になさってはいけない、もし旅順(りょじゅん)の城が滅んだとしても
終止形+とも」なので、「逆接仮定条件」で訳をする。
出典は与謝野晶子(よさのあきこ)の歌。明星(みょうじょう)という雑誌にのった有名な歌。

接続助詞「が」「ものの・ものを・ものから・ものゆゑ(え)」は覚える必要無し

接続助詞「が」「ものの・ものを・ものから・ものゆゑ(え)」は覚える必要はありません。なぜなら、接続助詞「が」は現代語と全く意味が同じで、皆さんが自然に「意味」と「主語が変わる可能性」を考慮できているからであり、「ものの・ものを・ものから・ものゆゑ(え)」は出題頻度がものすごく少ないからです。

それでも不安な方詳しい事を知りたい方へ、

意味は全部「逆接確定条件(~けれど)」で「主語が変わる可能性」があります。

あと格助詞「が」の方は、「意味が重要」で、「主語は変わりません」。以上。

補足:格助詞「が」と、接続助詞「が」の違い

格助詞「が」
主語が変わらない
意味が4つある。(最近の受験のトレンドとして基本的なことを聞いてくる)
格助詞「の」とだいたい同じ。「の」は「比喩」さらに加わり5つの意味がある

主格「が・は」と訳せる。英語で言うと「I(わたし)」
連体修飾格「の」と訳せる。英語で言うと「my(わたし)」
同格「で」と訳せる。(主格と間違えがち)
体言の代用「のもの」と訳せる。英語で言うと「mine(わたしのもの)」
比喩「のように」

あしひきの山鳥の尾のしだり尾長々し夜を一人かも寝む
「山鳥の尾のしだり尾のように長い夜を一人さみしく眠る」
「あしひきの」は「山」につながる「枕詞(まくらことば)」。訳さなかったり、そのまま書いて良し。
出典は百人一首の第3首。柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)
天智天皇(中大兄皇子)と同世代の万葉歌人。


接続助詞「が」
主語が変わる可能性がある
②意味は「逆接確定条件(~けれど)」。
③現代語と同じなので重要ではない。

格助詞「を」「に」は目的語や場所などを表す。そのまま「を」「に」と訳せる

格助詞「を」「に」はそのまま、「を」「に」と訳せますし、「主語が変わる可能性があります」。要するに、現代語と全く同じです。

注意すべき点は格助詞「を」「に」の後ろには、ほとんど読点(とうてん)「、」が付かないことです。しかし、たまに読点「、」が付いたりもします。だから、格助詞「を」「に」は「主語を補う」という点では厄介なのです。詳しくは3章でやります。

補足:格助詞「を」と、接続助詞「を」の違い

格助詞「を」
主語が変わる可能性がある。
「を」とそのまま訳せる。英語でいうと「me(わたし)」
後ろに読点「、」が付かないことがほとんど。たまに後ろに読点「、」が付く。

接続助詞「を」
主語が変わる可能性がある
意味は「順接」「逆接」「単純接続」の3つのうちどれか
順接(因果関係:いんがかんけい)「したがって、」「ゆえに、」「~ので」
逆接(対比関係)「しかし、」「~が」「~だが」
単純接続(つながってるだけ)「て」「と」
必ず後ろに読点「、」が付く

この章をまとめ
を、に、ば、ば、ども、が、ともを、に(鬼婆どもが友鬼)」で主語が変わる可能性がある
接続助詞「を、」「に、」は「順接」「逆接」「単純接続」の3つの意味がある
接続助詞「ば」「ば」「とも」「ど・ども」は「接続」と「意味」の違いがものすごく重要
接続助詞「が」「ものの・ものを・ものから・ものゆゑ(え)」のことは忘れて良し
格助詞「を」「に」は主語が変わる。読点「、」が付かないことが多いので見逃しがち

2.接続助詞「て、」「で、」「して、」「つつ、」「ながら、」は主語が変わらない

連用形+「て」は「~て」、未然形+「で」は「~しないで」と訳す

主語が変わらない接続助詞」は「て」「で」「して」「つつ」「ながら」の5つです。

「て」「で」「して」は現代語と意味が変わらないので、接続だけ覚えましょう

主語が変わらない接続助詞「て」「で」「して」

て」連用形接続で「て」と訳せる。「単純接続」
で」未然形接続で「で」と訳せる。「打消しの単純接続」

「して」形容詞・形容動詞・打消し助動詞「ず」の連用形接続。「て」と訳せる「単純接続」

ゆく川の流れは絶えして、しかももとの水にあらず。
「ゆく川の流れは絶えなく、しかも元の水ではない」

出典は鴨長明(かものちょうめい)の随筆「方丈記(ほうじょうき)」の有名な冒頭。
三大随筆(さんだいずいひつ)(随筆とは日記的側面に客観的・知的分析を伴うもの)
枕草子(まくらのそうし)清少納言(せいしょうなごん)」(平安中期)
方丈記(ほうじょうき)鴨長明」(鎌倉前期)
徒然草(つれづれぐさ)吉田兼好(よしだけんこう)」(鎌倉後期・南北朝期)
の3つは必ず覚えよう。

鴨長明は他にも
説話集「発心集」(ほっしんしゅう)
歌論「無名抄」(むみょうそう)
があるので注意。

物語評論「無名草子(むみょうぞうし)」藤原俊成(としなり)の娘(藤原定家の妹)は
歌論「無名抄鴨長明と混同しやすいので注意。
両方選択肢に入りがちです。

「つつ」「ながら」は意味も頻出!必ず覚えよう

主語が変わらない接続助詞」の「つつ」「ながら」は意味の識別が頻出します。

必ず覚えましょう。

主語が変わらない接続助詞「つつ」「ながら」(重要)

「つつ」連用形接続
動作の反復・継続(~し続ける
同時並行」(~ながら)

わが衣手は 露にぬれつつ
「私の着物は、露で濡れ続けている」(動作の反復・継続)
出典は百人一首の第1首。天智天皇の「秋の田の かりほの庵の 苫(とま)あらみ 我が衣手は 露に濡れつつ
「あばら家の屋根がぼろいので、服が濡れ続けた」という意味。

契りきな かたみ(お互いに)に 袖をしぼりつつ
「約束したよね 互いに袖をしぼりながら」(同時並行)
出典は百人一首の第42首。清原元輔(もとすけ)(「清少納言の父」で「梨壺の5人」の1人)の
「契りきな かたみに 袖をしぼりつつ 末の松山 波越さじとは」
「『心変わりはしない』って、お互いの袖を握ぎりしめながら約束したよね」という意味。


「ながら」連用形接続・形容詞の語幹(ごかん)「例)美し:美=語幹、し=活用語尾」
同時並行(~ながら)
状態の継続(~のまま)
逆接確定条件(~けれど)
最頻出で重要

「パンを食べながら、学校に行く人」を私はまだ見たことはない。
同時並行の「ながら」は現代語でも使う。「同時並行」はこのイメージ

「昔ながらの良い風景」
状態の継続の「ながら」は現代語でも使う。「状態の継続」はこのイメージ

夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを
「夏の夜は まだ早朝だけど 明けてしまって(ので)」(逆接確定条件)
出典は百人一首の第36首。清原深養父(きよはらのふかやぶ)(清少納言のひいおじいちゃん)の
「夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいずこに 月やどるらむ」
「夏は早朝だけど日開けになる。今、雲のどこら辺に月はいるのだろうか」という意味。
ながら」の「逆接確定条件」(~だけど)は狙い撃ちされます。特に注意して覚えましょう

この章をまとめ
接続助詞「て」「で」「して」「つつ」「ながら」は「主語が変わらない
・「て」「で」「して」は「接続」に注意しよう
・「つつ」「ながら」は「意味」を必ず覚えよう。

3.格助詞「を」「に」は、読点「、」が無いのにいきなり主語が変わる

(復習)格助詞「を」「に」はそのまま「を」「に」と訳せる

格助詞「を」「に」

そのまま、「を」「に」と訳せる
②「主語が変わる可能性がある」。
後ろに読点「、」が付かないことの方が多い。たまに読点「、」が付く。

このことから、

格助詞「を」「に」読点「、」が無い文中で、いきなり主語が変わることの方が多いのです。

文章の主語を補う時は、読点『、』主語が変わる接続助詞「を、に、ば、ば、ども、が、とも、を、に」に注意しておけば、大体大丈夫なのですが、

「主語は読点「、」の後でしか変わらない」と思い込んでいると、痛い目を見るのです。

格助詞「を」「に」は、主語がいきなり変わる

問題「格助詞『を』『に』に注意して、「主語の変化」を確認しよう(ヒントがあるから大丈夫です)」

①書いた手紙読まずに食べた。
②ここ掘れワンワンと示したところ鍬(くわ)を入れると大判小判がざっくざく~
③御車奉るところ掛物(かけもの 景品)持って奉りて、

ヒント
①「黒山羊(くろやぎ)」「白山羊(しろやぎ)」さんの歌。
②「犬」と「おじいさん」の「花咲かじいさん」の話。

③御車奉るところ掛物(かけもの 景品)持って奉りて、

・文中の「」「」「」はすべて「格助詞」。
読点「、」が付いていない。そのまま「を」「に」と訳せる)。

・2つめの「」で主語が変わる。

・2つの「奉る」「奉り」はともに敬語だが、
「奉る」は「尊敬語」と「謙譲語」の2つの意味がある
奉る」(尊敬語)「お食べになる」「お召しになる(着る)」「お乗りになる
奉る」(謙譲語)「差し上げる

解答

①書いた手紙読まずに食べた。
「(黒山羊さんが)書いた手紙(白山羊さんは)読まずに食べた。」
格助詞「を」で読点「、」の無い所で、突然主語が変わっている。

②ここ掘れワンワンと示したところ鍬(くわ)を入れると大判小判がざっくざく~




③御車奉るところ掛物(かけもの 景品)持って奉りて、

解答・解説

①書いた手紙読まずに食べた。
「(黒山羊さんが)書いた手紙白山羊さんは)読まずに食べた。」
格助詞「」で読点「、」の無い所で、突然主語が変わっている。

②ここ掘れワンワンと示したところ鍬(くわ)を入れると大判小判がざっくざく~
「(犬が)ここ掘れワンワンと示したところおじいさんが)鍬(くわ)を入れると大判小判がざっくざく~」
格助詞「」で読点「、」の無い所で、突然主語が変わっている。

③御車奉るところ掛物(かけもの 景品)持って奉りて、
「(偉い人が)車にお乗りになる偉くない人が)景品をもって差し上げて」

文中の「」「」「」はすべて「格助詞」。
読点「、」が付いていない。そのまま「を」「に」と訳せる)。
2つ目の「」で主語が突然変わる


2つの「奉る」「奉り」はともに敬語。、
「奉る」は「尊敬語」と「謙譲語」の2つの意味がある
奉る」(尊敬語)「お食べになる」「お召しになる(着る)」「お乗りになる
奉る」(謙譲語)「差し上げる

このように
敬語」は主語を補うのに絶対必要になります。
必ず整理して覚えましょう。

おさらい「に」の識別7種

「に」は接続助詞「に」格助詞「に」以外にもほかの品詞があり、合計7つあります。

「に」の識別(7種)

連用形+「に」
完了の助動詞「ぬ」の連用形の「に」(100%)
「にき」「にけり」と来たらほとんどこれ(⑦ナ変動詞との混同に注意)。

体言・連体形+「に」
②「に」、「それに」で訳せる→格助詞「に
③「~である」と訳せる→断定の助動詞「なり」の連用形「に」

④「~けど」(逆接)「~ので」(順接)「~て」(単純接続)で訳せる
接続助詞「に
(体言には接続しません)

接続無し
⑤活用する→「ナリ活用形容動詞」の連用形の「に」
⑥活用しない→「副詞」の一部「に」、いかに、ついに、まさに、げに

⑦「死に」「去に」「往に」→ナ変動詞の連用形の活用語尾
「死にけり」、「去にけり(ゐにけり)」、「往にけり(いにけり)」に注意。

この章のまとめ
格助詞「を」「に」は、読点「、」が無い所でいきなり主語が変わることが多い。
・[に]の7つの識別は偏差値60以上を目指すなら覚えましょう(めちゃくちゃ狙われます)。

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(第4回)「敬語『給ふ』『参る』『奉る』」

「敬語」は「主語を補う」のにとても大事です
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今回の内容を整理して「主語を補える」ようになりましょう。

(第7回)「識別③『に』」

「に」の識別は偏差値60」を目指す生徒さんはぜひできるようになりましょう!
まず理解して反復練習して「考えなくても反射的にできるようになりましょう
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(第5回)「識別①『ぬ・ね』『る・れ』『なり』」

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 この辺の識別が理解できると、古文の参考書の解説が理解できるようになって、古文は楽しくなってきます。

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前回:第9回「助動詞②推量系助動詞の意味・確述用法・撥音便の解説」

次回:第11回「未然形接続の助動詞『る・らる・す・さす・しむ・ず・じ・む・むず・まし・まほし』」

以上で、(第10回)「主語が変わる助詞『を、に、ば、ば、ども、が、とも、を、に(鬼婆どもが友鬼)』変わらない助詞『て、で、して、つつ、ながら』」は終わりです。

長い時間のご精読ありがとうございました。

今回取り扱った「主語が変わる助詞」は、「主語を補うのに重要な単元」です。今回の内容「主語が変わる助詞」と第4回の「敬語」の2つを押さえれば、主語を補うための条件は満たせます。これらの知識を理解して「鬼婆ストップの練習を10回繰り返せば、必ず主語が取れるようになりますので、ぜひやって下さいね。

次回は第11回「係助詞、結びの省略と消滅」にする予定ですので、よろしければ、次回も読んでいただけるとありがたいです。

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