現代文の解き方や勉強法、参考書や問題集の紹介(第8回)「選択問題の解き方『消去法の5つのコツ・線引きのコツ』(共通テスト)」

みなさんはじめまして。

七隈国英塾の杉久保英司と申します。当ホームページをご覧いただきありがとうございます。

今回は(第9回)「選択問題の解き方『消去法の5つのコツ』(共通テスト)」を解説していきます。

共通テストはセンター試験と比べると「圧倒的に難しくなっています」

文章がものすごく長くなっている(約23000字『2023年共通テスト』=原稿用紙58枚
「選択肢」が曖昧で紛らしい(「これが正解」と即断しにくい=他の選択肢と比較する必要
複数の資料の「細かい正誤」を問われる資料も最後まで読まされる

つまり、
「共通テストの現代文」は「センター試験」と比べて時間が足りない
短い時間で膨大な情報を処理する能力を問われている
のです。

しかし、
「『共通テスト』も『センター試験』も平均点は変わらないじゃないか」
という反論がありますが、これは数字のトリックです。
平均点を下げている下位層の「共通テスト離れ」が原因で、
平均点が変わってないだけです。
共通テストの国語は確実に難しくなっています

私自身も「共通テストの現代文」に慣れて、安定した点数を出すまでに時間がかかりましたし、
生徒さんへの指導もものすごく苦労しました。

今回はこのような経験を踏まえたうえで、
『消去法の5つのコツ』(共通テスト)
を解説したいと思います。

それでは、七隈国英塾の作法にのっとり今回の要点を3行でまとめます。

①「消去法」か「直接法」か?(結論:どちらも必要!)
②「消去法」5つの基準
③「直接法」のための「速く読む・解く『線の引き方』」

★現代文、古文、英語の勉強法をまとめた記事はこちら★
国語、英語の読み方、解き方、勉強法や参考書、問題集の紹介

前回:第7回「記述問題の解き方

次回:第9回「意味段落」

目次

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1.「消去法」か「直接法」か?(結論:どちらも必要!)

「消去法」の対義語って何?

消去法の対義語はありません。
このブログではとりあえず直接法とします。

消去法」と「直接法」とは?

「消去法」とは
選択肢の間違えている箇所を見つけ出し「間違え×」を消し
残ったものを正解とする方法。

共通テストの小説文は消去法が軸になる。


「直接法」とは
選択肢を吟味する前に、自分なりの解答(記述と同じ)を作る。
自分の解答と同じものを選択肢から選ぶ。


「積極法」「即断法」「直答法」「一撃法」「ズバッと法」
色々言い方があるらしい。

論説文ではかなり重要
小説文ではあまり役に立たない。

現代文「選択問題」の「正解・不正解」4つの基準

そもそも、
国語の共通テストの選択肢は「ややこしく」「紛らわしいもの」が多く、
正解・不正解の基準は言語化すると以下の通りになります。

正解・不正解4つの基準

正解
「間違えである」と言い切ることができない(超難:かなり抽象的消去法で残す)
②「正解である」と言い切れる根拠が本文中にある(楽:言い換えられているが直接法で残す)

不正解
⓷「間違えである」と言い切れる根拠が本文中にある(超楽:簡単に切れる)
④「正解である」と言い切れる根拠が本文中にない(難:2択で残る。具体的消去法で消す)

これらの選択問題を速く正確に解くには、消去法」と「直接法」両方必要です。

なぜならば、
消去法」でしか絞れず選択肢同士を相対的に評価しなければいけない問題
もありますし、
直接法」である程度自分なりの解答が作れないと、本文記述を「選択肢で別の言葉に言い換え」られたとき(つまり②のとき)正解であるのに気づかずに消去してパニックに陥ってしまうからです。

しかも、
年によっては消去法」で解ける問題が多い年もあれば、
直接法」ができないと厳しい年もあるのです。
使えるものは何でも使いましょう。

2択で迷ったらどうする?
(結論:抽象的・広義的な選択肢にマークして次に行く!)

共通テストは時間がありません。
じっくり腰を据えて考えている暇」もなく、
本文と選択肢を照合する暇」もありません。

煮詰まってドツボにはまりそうになったら、
抽象的・広義的」に書かれている選択肢にマークして、
次に行きましょう(超重要)。
上の図を見ればわかるように、「抽象的・広義的」のほうが範囲が広いので、
「間違いである」と断定するのが難しくなる(=正解になる)のです。

なぜそうなるかは、先述した「正解・不正解の基準①②③④
を読めばわかります。

正解
「間違えである」と言い切ることができない(超難:かなり抽象的消去法で残す)
②「正解である」と言い切れる根拠が本文中にある(楽:言い換えられているが直接法で残す)

不正解
⓷「間違えである」と言い切れる根拠が本文中にある(超楽:簡単に切れる)
④「正解である」と言い切れる根拠が本文中にない(難:2択で残る。具体的消去法で消す)


2択で残るのは「①」「④」の可能性が高いです。

「③」を消せないのは、本文に書かれてあることを忘れています。
本文と照合しましょう(時間が無いのであまりしたくない)。

「②」を残せないのは、「直接法」が出来ていない(=本文が読めていない)証拠です。
過去問などで、本文をどう読み間違えたかを検証して、次は間違わないように練習しましょう。
これが出来るようになると6割以上が安定してきます。

「①」「④」で迷えていたら、あと少しです(8割以上が見えてきます)。
いかにも正解っぽい、具体的、狭義的な「④」を消去して
「これで正解でいいの?」と思われる、抽象的、広義的な「①」を残しましょう。
小説文は「①④」の2択が多いです。

迷ったら「①」で勝負です。

時間は貴重なのです。
時間が余ったら、また戻ってやってもいいのです。

重要な事は「その問題に正答すること」ではありません。
時間内に終わらせて「それなりの点数にまとめる」ことです。
年に1回しかない共通テストで「大崩れしないこと」です。
パニックの連鎖反応を防ぎましょう。

2.「消去法」5つの基準

まずは「保留△」を多用しよう
=安易に「間違い×」を付けないようにしよう)

共通テストの選択肢の特徴として
「小さいキズ」(「ん?間違い×か?」と一瞬躊躇する細かい間違え)がかなり目立つようになりました。明らかに選択肢の文字数が増え必要のない情報(ノイズ)が多くなりました。 
そのかわり、「間違い×」はあからさまに「間違え×」と分かるように作られています。
2択になったとき、引っ掛かけたり、時間的負荷をかけるために「小さいキズ」をつけていると思われます。

その対策としては、
いきなり細かいことを気にするのでなく、「保留△」を多用しましょう。
「間違い×」はあからさまに「間違い×」なので、「間違い×」を安心して切っていきましょう。

消去法5種「書いてない」「逆」「言い過ぎ」「足りない」「ズレ」

消去法5種「書いてない」「」「言い過ぎ
足りない」「ズレ

書いてない
・本文中に書かれていないものはすべて無効。
ただし、安易に「間違え×」してはいけない。「保留△」を使おう。
・「一般常識」「道徳的」に考えて正しくても無効(超楽)。
・本文記述を「選択肢で別の言葉に言い換えられているもの」を
消してはいけない(楽)!(そのための直接法、文章を理解しよう)



選択肢が「筆者の主張」と逆になっている(超楽)。
「選択肢の因果関係」が逆になっている()。
(共テになってからよく見かけるようになった。中学受験ではメジャーなひっかけ)

「選択肢の因果関係が逆」とは?

○暑かったので(原因)、クーラーをつけた(結果)。
×クーラーをつけたので、暑くなった。(!?)

原因」と「結果」の関係を「因果関係」という。
「原因」→「結果」であり、「結果」→「原因」はあり得ない。
例えば、「夏の気温が高い(原因)」と「アイスの売り上げは上がる(結果)」。
しかし、世界中の人がアイスを食べるのを我慢したところで、地球温暖化は止まらない。
つまり、因果関係は逆転しない。ちなみに、因果関係の不可逆性を「因果律」という。

因果関係の接続語を「順接」の接続語という(超重要)。
「したがって」「だから」「それで」「すると」「~ので、」「~から」
などが本文や選択肢にあったら注意しましょう。
そして、「本文」の因果関係「選択肢」の因果関係になってたら消しましょう!
(本文中の記述をそのまま使っており、時間的に圧迫されてると「○」「△」にしやすい)


言い過ぎ
・選択肢に強く限定する言葉「必ず」「~のみ」「~しか」「~だけ
が使われ、筆者の主張より「言い過ぎ」になって「間違え×」になるパターン()。
言い過ぎ頻度は極めて高いので、常に注意しよう。

筆者が本文中で「強い言葉」を使っている場合は「正解○」になるので注意()。
間違って消さないようにしよう。


足りない
・筆者が2つの要因を挙げてるのに「1つしか」書いてない場合()。
・登場人物が「2つの気持ちで葛藤している」のに、「片方しか」書いてない()。
言い過ぎの逆パターン。
言い過ぎ」「足りないはセットで覚えよう。


ズレ
選択肢に「意味段落の異なる箇所」が書かれている)。
・「選択肢の因果関係」の「原因」「結果」のどちらかが意味段落の異なる箇所
になっている()。
小学生が記述問題で書いてしまう答案。遠い箇所全く関係ない箇所をくっつける。
いちおう辻褄が合い、一般論としても成立するものも多い。
しかし、その理屈や文脈は解答者の主観・一般論であり、
筆者が立てた理屈や文脈ではない。よって「間違い×」。

「意味段落」とは?
いくつかの段落が集まって、「一つの意味の塊になる段落」。
1つの文章で3つ~4つの意味段落から成る。
話の変わり目に注意しよう。


3. 「直接法」のための「速く読む・解く『線の引き方』」

「論説文」の線の引き方
「接続語」で機械的・反射的に線を引こう

論説文「筆者の主張」「主張の根拠(原因)」に線を引きます。

論説文の線を引く箇所(=解答の根拠になる部分)

論説文で読み取るのは「筆者の主張」。筆者の主張が書かれている箇所は
接続語」に着目すれば、容易に見つけられます。


①筆者が自分の主張をしている箇所
(逆接「~が、しかし、ところが、」の後ろ

②筆者が自分の主張を要約している箇所

(「例えば」の、「つまり、要するに」の後ろ

原因が書いてある箇所
(「~から、~ので、」などの原因が書いてある箇所。「したがって」の

下図の「赤い」ところに線を引く箇所部分点が入る箇所)が存在しています。
逆に「青い」ところはほとんど点にならないことが多いです。

小説文の線の引き方
前後の「セリフ」「行動・身体変化」「風景」に線を引き
真ん中の「傍線部」の心情の根拠とする

小説文の線を引く箇所(=解答の根拠になる部分)

小説文で読み取るのは「登場人物の心情」「心情の変化
傍線部だけ見ていても心情は分からない
前後にある「セリフ」「行動・身体変化」「風景
に線を引いて問題を解く根拠にしていきましょう。

セリフ
「」で書かれている箇所。傍線部の前後の「セリフは解答の根拠になります。

行動・身体変化

心の変化が強く現れるところ」なので、線を引いて問題を解く根拠にしていきましょう。
特に傍線部の後ろにある「行動・身体変化」に線を引いて根拠にしましょう。

風景
「風景=心情」です。小説文に書かれた風景には必ず意味があります。

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前回:第7回「記述問題の解き方

次回:第9回「意味段落」

以上で第9回「選択問題の解き方『消去法の5つのコツ・線引きのコツ』(共通テスト)」は終わりです。

ご精読ありがとうございました。

今回取り扱った消去法の5つのコツ・線引きのコツで、選択問題が解けるようになった生徒さんは多いです。

消去法5種「書いてない」「」「言い過ぎ足りない」「ズレは、過去問などで使いながら身に付けていきましょう。これらに加えて「消去法」だけでなく「直接法」も使えると高得点が安定的にとれるようになります(逆説的に言えば、「直接法」が出来ないと高得点が安定しない)。

過去問で「どこをどのように間違えたのか」を検証していきましょう。必ずできるようになります。

次回はまだ未定です。よろしければ、次回も読んでいただけるとありがたいです。

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