国語の解き方や勉強法、参考書や問題集の紹介(第13回)「終止形・ラ変の連体形接続の助動詞『べし・まじ・らむ・めり・らし・なり』」

みなさんはじめまして。

七隈国英塾の杉久保英司と申します。当ホームページをご覧いただきありがとうございます。

今回は(第13回)「終止形・ラ変の連体形接続の助動詞『べし・まじ・らむ・めり・らし・なり』」を解説していきます。

助動詞は「掛け算九九」みたいなものです。
九九ができなければ分数の足し算・掛け算が出来ないのと同様に、
助動詞が分からなければ古文はわかるようになりません

助動詞の中でも、
終止形・ラ変の連体形接続の助動詞は一番難しい所で、
ほとんどの生徒さんは覚えていません。

いわゆる「差がつく単元」なので、
ここをしっかり押さえて古文を得点源にしましょう。

それでは、今回の要点を2行でまとめます。

①まずは「接続」を覚えよう
②終止形・ラ変の連体形→「u段」
⓷終止形・ラ変の連体形接続の「意味」と「解説」

助動詞の接続

未然形接続「る・らる・す・さす・しむ / ず・じ・む・むず・まし・まほし」

連用形接続「き・けり・つ・ぬ・たり・けむ・たし」

終止・ラ体「べし・まじ・らむ・めり・らし・なり」←今回はココ

体言・連体「ごとし・なり・たり」

サ未・四已「り」

(さみしい・サ変未然/四段已然)


目次

国語、英語の読み方、解き方、勉強法や参考書、問題集の紹介

「現代文」「古文」「英語」のまとめリンクになっています
第1回に参考書・問題集の紹介を行っております。
できるだけ分かりやすく伝えることで、皆さんの成長のきっかけとなれば良いなあと思っています。

★現代文、古文、英語の勉強法をまとめた記事はこちら★
国語、英語の読み方、解き方、勉強法や参考書、問題集の紹介

前回:古文(第12回)「未然形接続の助動詞『き・けり・つ・ぬ・たり・けむ・たし』」

次回:古文(第14回)未定

この記事はこんな人が書いています

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国語ができなくて受験前から諦めかけているご家庭のためのサービスです。遠方のご家族から寄せられたご要望により開講いたしました。

1.まずは「接続」を覚えよう

接続とは?

「上が何形か」ということです。

例を挙げます。
助動詞「まほし(~したい・願望)」の接続は未然形で、
助動詞「たし(~したい・願望)」の接続は連用形です。

助動詞「まほし」「たし」は
意味は「願望・~したい」で同じですが、
接続(上の形)が違います

つまり
まほし」の上が未然形で、
たし」の上が連用形になります。

例文
呼ばまほし。
呼びたし。
となります。

呼ぶ(四段動詞)
未然(ず)呼ば
連用(て)呼び
終止(。)呼ぶ
連体(とき)呼ぶ
已然(ど)呼べ
命令呼べ

「ず」「て」「。」「とき」「ど」「命令」で活用させよう

「ず」「て」「。」「とき」「ど」「命令」

をつけて活用させましょう。

走る(四段)流る(下二)老ゆ(上二)射る(上一)
未然(ず)走ら流れ老い
連用(て)走り流れ老い
終止(。)走る流る老ゆいる
連体(とき)走る流るる老ゆるいる
已然(ど)走れ流るれ老ゆれいれ
命令走れ流れよ老いよいよ

1語1語覚えるのではなく、全ての助動詞の「接続」→「意味」→「活用」の順で覚えよう

助動詞の1つ1つの「接続」「意味」「活用」を覚えるのは大変で非効率的です。


例えば
助動詞「まじ」

接続「終止形・ラ変の連体形接続」
意味「打消し推量・打消し意志・不可能・禁止・不適当」(「」)
活用「下の表」

べし(主活用)ず(副活用)下が助詞・助動詞の時
未然まじくまじから
連用まじくまじかり
終止まじ
連体まじきまじかる
已然まじけれ
命令
「べし」の活用

これを27個もある助動詞で繰り返すのは無理です。
私もこのやり方で失敗しました。


1つの助動詞の「接続」「意味」「活用」を全て覚えて
これを27個分繰り返すのではなく。

まず、全ての助動詞の「接続」を覚えて
次に、全ての助動詞の「意味」を覚えて
最後に、全ての助動詞の「活用」覚えるのです。

まずは「接続」を覚えましょう

助動詞の接続

未然形接続「る・らる・す・さす・しむ / ず・じ・む・むず・まし・まほし」

連用形接続「き・けり・つ・ぬ・たり・けむ・たし」

終止・ラ体「べし・まじ・らむ・めり・らし・なり」

体言・連体「ごとし・なり・たり」

サ未・四已「り」

(さみしい・サ変未然/四段已然)

200人以上の高校生・中学生に古文を教えてきましたが、
驚くことに
95%の生徒さんはこれを知りません
皆さんなんとなく古文を解いています。

私の古文の最初の授業はこれを覚えてもらいます。
「九九」が出来なければ、「分数の計算」ができないのと同様に、
「助動詞」が出来なければ、「古文」はできるようにならないからです
だから、高校1年生で1年間かけて助動詞の学習をするのです。

助動詞の「接続」を覚えるだけで、
平均で45分
遅い生徒さんで1時間30分かかります。
最速で中学2年生の25分です。

声を出して音声で「耳」に覚えさせましょう(超重要)

よく忘れるので、身につくまで何回も繰り返しましょう

ここを突破できなければ、古文学習の先はありません(マジでどうしようもないかも)

逆に言えば、
ここさへ突破できれば

「古文学習」の門が開く!

のです。

45分かけて
声に出しながら
これだけに集中しましょう。

助動詞の接続(これだけに集中すれば、45分で1度は完ぺきにできる)

未然形接続「る・らる・す・さす・しむ / ず・じ・む・むず・まし・まほし」

連用形接続「き・けり・つ・ぬ・たり・けむ・たし」

終止・ラ体「べし・まじ・らむ・めり・らし・なり」
(ラ体=ラ変連体形)

体言・連体「ごとし・なり・たり」

サ未・四已「り」

(さみしい・サ変未然/四段已然)

2.終止形・ラ変の連体形→「u段」

走る(四段あり(ラ変
未然(ず)
連用(て)
終止(。)(u)(i)
連体(とき)(u)
已然(ど)
命令
終止形・ラ変の連体形の比較

「終止形・ラ変の連体形接続」の意味が分からない生徒さんは多いです。

結論を言うと、

「終止形・ラ変の連体形接続」=「u段の下につく」

ということです。

ラ変の終止形だけが「i段(り)」

で、その他の終止形は全部「u段」です。

よって、
べし・まじ・らむ・めり・らし・なり」は
「終止形(u段)」の下に付きたいけど、「ラ変」だけは「終止形(i段)」なので、
仕方なく「ラ変の連体形(u段)」に接続する
ということです。

3.終止形・ラ変の連体形接続の「意味」と「解説」

今回は「終止形・ラ変の連体形接続の助動詞」
「べし」「まじ」「らむ」「めり」「らし」「なり」
だけの「意味」と「解説」です。

解説」とは
実際の試験問題を想定して、
知っておくと得点になるポイント
を解説するものです。

べし

意味
ス 推量(~だろう)
イ 意志(~したい)
カ 可能(~できる)
止 当然(~しなければならない)
め 命令(~しろ)
て 適当(したほうが良い)
「スイカ止めて」で覚えよう。
解説
「べし」の訳の選択問題が多い
識別の手順
①まず「可能」か「可能でないか」を見分ける。
②「可能」でなかったら、「強い」か「弱い」かどっちかに分ける。
③「強い」なら「意志」「当然」「命令」
④「弱い」なら「推量」「適当」
完全に文脈判断なので、上の基準をもとに練習を積み重ねよう。

解説2
副活用の「カリ活用」は下に助詞・助動詞が付いたときに使う。
(○)この橋わたるべから
(×)この橋わたるべく

解説3
促音便になるので注意。
あるべし→あんべし→あべし

まじ

意味
not スイカ止めて」で覚えよう。
打消し推量「~でないだろう」
打消し意志「~したくない=wii not」
不可能「~できない=can not」
打消し当然「~するはずがない」
禁止(打消しの命令)「~するな Do not do」

解説
「まじ」=「not べし」。「べし」の反対と覚えよう。

らむ

意味
「現在推量(~しているだろう)」
「現在婉曲(~しているような)」
解説
「む(むず)」の子どもの一人。もう一人の子どもは「けむ」。

「けり(過去)」+「む」=「けむ」?
「らし(推定)」+「む」=「らむ」?

「けむ」
「過去推量(~しただろう)」
「過去婉曲(~したような)」

「む(むず)」=ちょい未来
「らむ」=現在
「けむ」=過去

「む(むず)・らむ・けむ」は「婉曲(~ような体言)」の意味を持つ。これに「めり」を加えて「婉曲」の意味を持つ助動詞は5つ。

めり

意味
「推定(~ようだ)」
「婉曲(~ような)」
解説
「ようだ」「ような」で意味が覚えやすい。
「推定」と「推量」の違いは、「推定」には根拠があるという点。「めり」「らし」「なり」には根拠がある。
「めり(~ようだ)」→「視覚情報
「らし(~らしい)」→「聴覚情報
「なり(~という噂だ)」→「うわさ

隣の席のAちゃんはまだ来ていない。
Aちゃんは欠席のようだ視覚情報からの推定)。

台所から大根を切る音が聞こえる。
朝ごはんは味噌汁らしい聴覚情報からの推定)。

奥山に猫又(猫の化け物)というものがありて、
人を食らうなりという噂だ)(うわさが根拠)

解説2
「婉曲」とは「回りくどい表現」のこと「~ような」と訳す。
・「あなたのことが好きだー」(ド直球)
・「あなたのようなが好きよ」(婉曲
「めり」の下に「体言(=名詞)」がくると婉曲になる。
「む(むず)」「らむ」「けむ」「めり」の5つが婉曲の意味を持つ。

解説3
促音便になるので注意。
あるめり→あんめり→あめり

らし

意味
「推定(~らしい)
解説
意味・活用がものすごく覚えやすい。現代語「らしい」と同じ。活用も今すぐ覚えよう。

未然 連用 終止 連体 已然 命令
○  ○  らし らし らし ○

解説2
「めり」「らし」「なり」は推定の意味を持ち、根拠がしっかりしている。
「らし(~らしい)」は「聴覚情報」が根拠

なり

意味
「伝聞推定(~という噂)」
解説
伝聞推定の助動詞「なり」と断定の助動詞「なり」の識別が最重要

伝聞推定「なり」→終止形・ラ変の連体形接続
断定「なり」→連体形・体言に接続

問題
2つの「なり」を識別しよう。

男もすなる日記というものを
女もしてみんとてするなり



ヒント
未然 連用 終止 連体 已然 命令
せ  し    する すれ せよ


解答
男もなる日記というものを
女もしてみんとてするなり

男がするという噂の日記というものを
女もしてみようとしてするのだ

解説2
「なり」の上が「四段」「ラ変」の場合、接続による識別ができない。頑張って文脈判断しよう。

解説3
促音便になるので注意。
あるなり→あんなり→あなり

促音便になるのは「べし」「めり」「なり」

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次回:古文(第14回)未定

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以上で、第13回「終止形・ラ変の連体形接続の助動詞『べし・まじ・らむ・めり・らし・なりは終わりです。

ご精読ありがとうございました。

今回取り扱った助動詞は、基本中の基本です

次回は第14回は未定ですが、よろしければ、次回も読んでいただけるとありがたいです。

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