現代文の解き方や勉強法、参考書や問題集の紹介(第2回)「小説文の読み方」

皆さんこんにちは。七隈国英塾の杉久保です。

今回は 「小説文の読み方」を解説して聞きます。

小説文の目的は登場人物の心情やその変化を読み取ることです。

具体的にどのようなことにに注意して読めばいいのでしょうか?。

それでは七隈国英塾の作法にのっとり今回の要点を3行でまとめます。

①小説文は三幕構成で書かれている
②見えない心を読み取る根拠、セリフ、行動、身体的変化
③現実とはことなる心象風景(心=風景)
補足:登場人物の気持ちになって小説文を読むのはあり?なし?(共感性、投影)

★現代文、古文、英語の勉強法をまとめた記事はこちら★
国語、英語の読み方、解き方、勉強法や参考書、問題集の紹介

前回:現代文(第1回)「現代文ができない3つの要因」
次回:現代文(第3回)「論説文の読み方①接続詞」

1.小説文は三幕構成で書かれている。

登場人物が問題に直面する場面から出題される

物語の主人公や登場人物は何らかの問題を抱えています(あるいは冒頭で抱える)。

物語の中で登場人物はその問題に直面し、

最終的に、問題に対して何らかの決着(問題の解消、主人公の考え方の変化、問題に飲み込まれて破滅、あるいは何も変わらなかったり)をします。

問題に決着をつけた登場人物は物語から退場します。

そして、主人公の問題が決着すると物語自体が終わるのです。

ほとんどの小説文で出題されるのは、主人公の心情が大きく動かされる

問題に直面する場面、あるいは、問題に決着をつける場面です。

起承転結でいえば、転、あるいは、転と結の間の場面です。

主人公の心情が大きく動かされる場面での、登場人物の気持ちやその変化を読み取るのが小説文の目標なのです。

三幕構成とは

小説に限らず様々の物語(演劇、映画、漫画、アニメ、音楽)は

三幕構成

で書かれていることが多いです。

三幕構成は以下の3つからなります。

「設定」登場人物の置かれている状況や、人物同士の関係性が書かれます。
「対立」問題に対して主人公が葛藤(かっとう 心が揺れ動く)します。
「解決」最終的に問題に決着を見ます。

古代ギリシャの演劇や物語を、アリストテレスが分析してその構造を文章化したもの(詩学)が元になっています。

それをハリウッド関係の方が再発見したもので、古今問わず多くの物語に見られる特徴です。

小説文の問題では、冒頭に登場人物やその関係性について、またそれ以前に何があったかの注意書きが書かれていることが多いです。

これが「設定」に当たります。

冒頭の注意書き(=設定)を読み飛ばす生徒さんはものすごく多いです。

冒頭の注意書き(=設定)と問題文(=対立や解決)の場面とでは大きく心情が変化していますので、そのギャップを確認するためにも冒頭の注意書きは必ず読みましょう。

また、「以下の文章を読み各問題に答えよ」の後に冒頭の注意書きが書かれているので、ここも解答の根拠になりうるのです。

そして、

出題される本文が「対立」「解決」の場面に当たります。

主人公や登場人物の心情が大きく動かされる場面ですので、心情やその変化を表す根拠がたくさん出てくる場面です。

心情やその変化を表す根拠を見逃さないようにマークをしましょう。

具体的なことは次の章でやる予定です。

とりあえず、今は小説文の書かれ方や構造である三幕構成を確認しておきましょう。

この構造を知っておくだけでも、小説文を客観的に読むことの助けになると思います。

この章のまとめ
・小説文で出題されるのは、主人公の心情が大きく動かされる場面である。
・物語は「設定」「対立」「解決」の三幕構成で作られている。
・冒頭の注意書き(=設定)は必ず読もう。
・本文の「対立」「解決」場面では、心情やその変化を表す根拠がたくさん出てくる
・三幕構成を意識して小説文を客観的に読もう。

2.見えない心を読み取る根拠、セリフ、行動、身体的変化。

心の言語化「セリフ」

見えない心を読み取るのに1番重要の根拠は、登場人物が話すセリフです。「~」の中

登場人物は自分の気持ちを言語で表現します。

これを

心の言語化

と言います。

心理的な問題を解決するのに、自分の気持ちや思っていることを言語化して直そうとするカウンセリングが有名ですね。

心と言葉はものすごく密接な関係があるのです。

ただし、

同じセリフでも、使われている状況や文章前後の関係で意味が大きく変わります。

たとえば、

自分の親友になにか良いことがあって「おめでとう」という場合
②自分がキライなやつに何かいいことがあって「おめでとう」という場合

①では心と言葉が一致していますが、
②では心と言葉が反対です。

言葉が状況や前後の文脈によって定まるのは、論説文と同じですね。

前後の文脈や前後で話した「セリフ」の違いなどを比較しながら、登場人物の心情を読み取っていきましょう。

心の行動化「行動・行為」

登場人物が自分の気持ちと逆のことを言ったり、あんまり話さなかったりする場面も多いです。

そこで、登場人物の行動に注目します。

登場人物の心情は、自分が意識していなくても仕草や行動や行為にあらわれるものです。

目が泳いだりあわただしく動いたりいつもならやらないことをやったりします。

これを

心の行動化

といいます。

言葉で表していないことや逆のことは行動で読み解きます

特に重要なことは、言っていることとやっていることが違う場合行動のほうが解答の根拠になります。

心の行動化 > 心の言語化

なのです。

現実世界でも、口で立派なことを言っていても、やっていることがひどい人は信頼されません。

逆に、口が悪くても、やっていることが良ければ信頼されます。

人の心は行動で判断されるのです。

また、「目は口ほどに物を言う」という格言もあります。

心の行動化のほうが、心の言語化よりも優位なのです。

心の身体化「身体的変化」

心の状態は体の変化となって現れます。

顔が赤くなったり青ざめたり冷や汗をかいたり涙が出たりします。

これを

心の身体化

といいます。

心の変化が大きく現れるところなので心の身体化の箇所には必ずマークをつけて、問題を解く根拠にしていきましょう。

前の章でも述べましたが、

小説文は起承転結の「転」と「結」、三幕構成で言えば「対立」と「解決」の場面、主人公の心が大きく動く場面から出題され、心の身体化がより多く書かれます

つまり、

心の身体化 = 心情が大きく変化している

ということなのです。

心の身体化は心が変化していることを表すとても重要なきっかけです。

決して見逃さないようにしましょう。

心の身体化の前と後では登場人物の心情は大きく変わります。

必ず、心の身体化の部分にマークをし、前後の心情を対比して解答するようにしましょう。

この章をまとめ
心情はセリフで表される(心の言語化)。
・セリフの意味は状況や前後の文脈で変わる。
心情は行動で表される(心の行動化)。
心情の行動化>心の言語化。
心情は身体的変化として現れる(心の身体化)。
心情の身体化=心情の大きな変化。心情の身体化の前後を対比しよう。

3.現実とは違う心象風景(心=風景)

人は風景に自分の気持ちを重ねる(投影について)

前の章で述べた、心情の言語化心情の行動化心情の身体化は、日常生活でも何気なく使って見えない心を読み取っています。

しかし、この章で扱う心象風景(心=風景)は、作り物である小説にだけに通用するものです。

小学生の中学受験では根拠として使われることが多いです。

では、なぜ小説文では、心=風景となるのでしょうか?

たしかに、現実の風景は、人間の気持ちとは無関係にそこに存在しているものです。

しかし、

人間は、現実の風景に自分の気持ちを重ねたり、時には引っ張られたりします。

たとえば、初日の出を見る人々がいます。人々は新年のすがすがしい気持ちなどを、初日の出に重ねるのです。

この風景に自分の気持ちを重ねることを、

投影(とうえい)する

といいます。

そして、人間が自然に持っている投影を利用したのが

心象風景(心=風景

なのです。

小説文に書かれた風景には必ず意味がある

小説文は作者により創造された世界です

小説文にある風景は、ただそこなあるものではなく、読者の投影に働きかけて、登場人物の心情を表現するために、作者によって意図的にそこに置かれた風景なのです。

よって、

小説文に書かれている心象風景は、登場人物の気持ちが表現されているのです。

たとえば、

①長かった夜が明けて、日が少しずつ昇る心象風景
②日が沈んでゆく心象風景
③雷が鳴り激しく大雨が降る心象風景

①では、登場人物の気持ちも少しずつ明るく活発になります。
②では、登場人物の気持ちが沈んだり、落ち着いたり、複雑な気持ちになったりします。
③では、登場人物が何も話さず、表情に動きがなくても、気持ちは大きく動いているのです。

このように、心象風景(心=風景)は、登場人物の心を表現している重要な根拠です

筆者は風景を意図して効果的に用います。

創作物における風景には一切の無駄がないのです。計算されて意図的に置かれてるのです。

演劇、映画、漫画、アニメなども心象風景を意識して楽しむのもいいと思います。

この章のまとめ
・心象風景(心=風景)
・人は風景に自分の気持ちを重ねる=投影
・筆者は投影を利用して意図的に風景を配置する
・よって、小説文に書かれた風景には必ず意味がある

(補足)登場人物の気持ちになって小説文を読むのはあり?なし?(共感性、投影)

私の結論から言うと

どちらかというと無し派です。

順を追って説明したいと思います。

共感性を生かすメリット

指導していて気付くことですが、女性のほうが男性よりも小説文が得意な傾向にあります(ちなみに論説文は男性のほうが得意な場合が多いです)。

これは、女性のほうが他者の感情を共有する能力(=共感性)が、圧倒的に強いからだと思います。

喜怒哀楽がはっきりしている子に多い印象です。

生まれ持った才能である共感性を生かして、登場人物の気持ちを共有できることは小説文を読むための大きな武器です。

日常生活でも使える素晴らしい才能ですので、この能力を客観性重視の指導をして潰してまうのはもったいないと思います。

ただし、

なぜか、このタイプの子は本番でいい点を取れないことが多いのです。

投影によるデメリット

人は風景に自分の気持ちを投影するのと同様に、

物語の登場人物に自分の気持ちを投影しています。

「この小説のこの人物が好きだ」、「この漫画のこのキャラが好きだ」というのは、物語の登場人物に自分の気持ち(自分そのもの、あるいは理想像など)を投影しているのです。

登場人物が問題に「対立」「解決」していく様子を登場人物に自分の気持ちを投影しながら楽しんでいるのです。

登場人物の気持ちになって小説文を読むとき

登場人物の心情に共感していると同時に、自分の気持ちを登場人物に投影しています。

はっきり言って、共感と投影は不可分(分けることができない)なものです

自分の気持ちは、その時の状況、気分、体調によって変化します。

そして、受験本番というのは間違いなく

極限状態です。

受験生の気持ちが大きく動いてしまいます。

いつもではきている登場人物の気持ちになって小説文を読むことが、受験本番ではできなくなってしまうのではないかと考えられます。

具体的な対応策

登場人物の気持ちになって小説文を読むタイプの生徒さんに対しては、1~3章で述べたような客観的な読み方必ず指導するようにしています。

共感性という才能を尊重しながら本番でも力を出せるようにするためです。

逆に、客観的に小説文を読むタイプ(=登場人物に共感も投影もしない)の生徒さんに対しては、そのまま客観的な小説文の読み方を徹底してきます。

このような理由で、

登場人物の気持ちになって小説文を読むことに対しては、

どちらかというと無し派

なのです。

この章のまとめ
他者の感情を共有する能力(=共感性)で、登場人物の気持ちは読み取れる(メリット)
共感と投影は不可分である。
・受験本番では投影が邪魔をして、登場人物の気持ちが読み取りにくくなる(デメリット)
・小説文を客観的な読み方で読めると、受験本番でより安定する(対応策)

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前回:現代文(第1回)「現代文ができない3つの要因」
次回:現代文(第3回)「論説文の読み方①接続詞」

以上で、第2回「小説文の読み方」は終わりです。

ご精読ありがとうございました。

前回よりは短くしたのですが、それでも結構長くなってしまいました。次は、もっと短くしたいと思います。第3回は「論説文の読み方①接続語の使い方」にする予定です。

よろしければ、次回も読んでいただけるとありがたいです。

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